「――――! 新イベントの気配がする……!」
「えっ、今イベント中じゃなかったんですか……?」
「イベントが終わったらそのままカルデアに戻らないで直行するってことよ。まぁ、マスターだけなんだけどね」
何かを感じ取ったオオガミに、困惑するイリヤ。
エウリュアレはそんな二人にため息を吐き、イリヤの疑問に答える。
「ほえぇ……マスターさん、休憩無しなんだ……私じゃ考えられないや」
「なんだかんだ、二週間ずっとですもんねぇ……まぁ、マスターの魔力というより、カルデアのバックアップの力って感じですけど」
「あら、そのステッキ、ちゃんと見るところは見てるのね」
「す、すいません、うちの残念ステッキが……」
「残念とはなんですか残念とは! ルビーちゃんは誠心誠意精一杯頑張ってるじゃないですか!」
そう言って、抗議をするルビーを見て、オオガミは、
「うんうん。まぁ、ルビーが言うことはごもっともだ。じゃあ、反対に超優秀なルビーに良い話があるんだけど、その力、より活かせる場所があるとしたら、行ってみたくない? もちろん、イタズラ的な意味で」
「おぉ! なんですか面白そうですね!」
「ちょ、これ以上はたぶん死活問題に発展すると思うんですけど!?」
「私もあまりおすすめしないけど……まぁ、面白そうなら良いわ」
オオガミの言葉に、三者三様の反応をする。
そして、ルビーはオオガミに近付くと、
「ではでは、どういったところなのかお聞かせ願えますか? マスターさん」
「うん。それはね……技術部って言うんだけどさ」
ニヤリとオオガミが笑うと同時に出現する門。
それはアビゲイルのものとはどこか違う雰囲気を漂わせており、故に、出てくるものは――――
「ナイスですセンパイ! では、このステッキ、貰っていきますね!」
「ふはは! こやつが例の面白ステッキか! 薬品担当の試験に合格できるか楽しみじゃ!」
「生半可なものでは朕もつまらぬ。どれ、お手並み拝見といこう」
「だ、騙しましたねぇぇぇ!?」
「いやぁ……騙してないんだよねぇ……だって、そこが一番イタズラするところだし」
そう言って、BB達に引きずり込まれたルビーに手を振る。
それを呆然と見ていたイリヤは、ふと我に帰ると、
「ど、どうしよう! いろんな人に技術部には近付くなって言われてたのに、ルビーが引きずり込まれちゃった!」
「気にしないでおきなさい。どうせすぐに帰ってくるわ……あれ、でも、あの二人に捕まったらしばらくは帰ってこないかも……?」
「ルビーがいないと変身できないんですけどー!?」
そう悲鳴をあげるイリヤに、オオガミは、
「大丈夫。代わりにエウリュアレ出るから」
「出ないわよバカ」
即座にオオガミは蹴り倒され、静かになるのだった。
その怒濤の展開についていけないイリヤに、エウリュアレは、
「ま、適当にライダーでも呼んでくるわ。マスターはともかく、サーヴァントは基本休めるから。二人のところに行って遊んできなさい」
「え、でも……」
「戦力にならないのを連れ回すほど悪魔じゃないわよ。このマスターは」
そう言って、エウリュアレはイリヤが遊びに行けるようにする。
イリヤもその意思を汲んで、お礼を言って走っていくのだった。
「……まぁ、戦力にならないのを連れ回したのは、私の時だけよね……そんな良い思い出でもないけど」
そう呟いて、苦笑いをするのだった。
紫式部……でもまぁ……礼装狙いで終わりですかね。お兄ちゃんになった代償は石の消滅なのですシトナイは狙いたい。