「ふぅ……ある程度クエストは終わったかな」
「お疲れ様。ゆっくり休みなさい」
そういうエウリュアレは、ぽんぽんと膝を叩きつつオオガミに視線を送る。
「……寝ろと?」
「えぇ。最近膝の上に何かがあるのが多いから、無くなると一周回って不安になるから」
「そ、そう……じゃあ、遠慮なく」
オオガミはそう言って、エウリュアレの膝の上に頭をのせる。
水晶の大地で軌跡を残していく星を見ながら、ふと、
「アビーは?」
「あぁ、それなら、向こうでバラキーとマシュと一緒に遊んでるわ。イリヤとクロも誘ったらしいけど、断られたみたいよ」
「ふぅん……ん? そういえば、ルビーを見てないような……」
「……いや、そんなはずはないでしょう?」
そう言って、考え込む二人。そして、
「あれあれぇ~? 何してるんですか、お二人とも」
「……やっぱ自律してるんだね」
「よっぽど暇なのかしら」
突然現れた魔法のステッキこと、ルビーに苦笑いする二人。
周囲を見回してもイリヤがいないところを見るに、単独だろう。
「あんまり主人の元を離れるのは良くないと思うんだけど」
「あ~……いえいえ。大丈夫ですって。戦闘じゃないのなら、私はあまり必要ないですし。まぁ、私はずっと一緒にいてもいいんですけどね~」
「ふむふむ……あ、そうだ。この前言ってた秘蔵写真を見せ――――ぐふぅっ!」
容赦なく落ちる肘鉄。見事なまでに額に突き刺さった一撃に、オオガミは悶絶する。
そして、エウリュアレは凄みを感じる笑顔で、
「ルビー。別に貴方が何をしていようと勝手だけれど、マスターを弄るのは感心しないわ。後で痛い目に遭ってもらうことになるわよ」
「……なんでこう、ここの女性は危ない人しかないんでしょう……もしやこのカルデアに来たのはミスだったのでは?」
「あら、ミスだなんて、そんなことないわ。むしろ、まだ一端しか見てないじゃない。というより、一番危ない技術部を見ていないのだから、判断は早すぎると思うの」
「一端でこれならその技術部は相当危ないと思うのですが! ルビーちゃんは帰らせていただきます!」
そう言ってルビーが逃げようとした瞬間、
「おはようからお休みまで! あなたの隣に気付くと這い寄る混沌、BBちゃんですよ~! あ、チャンネルは現在休止中なので悪しからず!」
と、突然現れたBBに気付くも、すぐに方向転換できるわけもなく、
「あぶなーい!」
「おっと。不意打ちとはいい度胸ですね?」
素早く掴まれるルビー。
必死で逃げようとするもびくともせず、それでも必死であがいていると、
「ちょっとセンパイ、何ですかこれ。完全自律式礼装ですか? 面白そうなので持ち帰って研究していいですか?」
「ちょっと! ルビーちゃんはイリヤさんの元に戻るという使命があるんです! 離してください!」
「BB。帰ったらもう一回会わせるから、それまで我慢して」
「むぅ……仕方無いですね。センパイに免じて許してあげます」
そう言って、BBはルビーを手放し、それと同時にルビーは全速力で逃げ出すのだった。
後半クエスト待ちな私です。心臓集めて待機しなきゃ……