「……ピックアップまだですか」
「いい加減にしなさい」
エウリュアレの手刀を受け、大人しくなるオオガミ。
アビゲイルはそれを見て、
「マスター、いつになくやる気よね。何でかしら」
「まぁ、マスターの中で召喚優先順位が結構高いサーヴァントだから……とはいっても、メルトよりは下っぽいけど」
「そうなの……ちなみに、私は?」
「その更に下よ」
「……そこまでハッキリ言われると、流石に傷付くわ」
「それでも、私よりは優先順位が高いのだけど」
「だってもう宝具5だものね!」
そう言って頬を膨らますアビゲイルに、エウリュアレは微笑みつつ、
「でもまぁ、宝具2なのだから、もっと胸を張ってもいいと思うわ。レベルも100なのだし」
「それはそれだと思うの。もう少し私を構ってくれてもいいと思うのだけど!」
「そうねぇ……ナーサリーの所に行ってきたらどうかしら。意外と楽しいと思うわよ。たまにアナも連れていかれてるし」
「な、ナーサリーさんのところ……んむむ……え、遠慮しておくわ。その、ナーサリーさんはちょっと苦手なの。まるで……そう。まるで、心の内まで見透かされているようなの」
「……まぁ、子ども達の英雄は伊達じゃないってことね。何かと子ども達のリーダーをやってるのは、そこから来てるのかも」
そんなことを言っていると、
「あら、エウリュアレさん、お久しぶりね。アナさんはいらっしゃる?」
「えぇ、久しぶりね。アナは倉庫整理に貸し出してるの。そのうち戻ってくると思うわ」
「そうなの……お茶会に誘おうかと思ったのだけど、いないなら仕方ないわね。後は誰を誘おうかしら」
「ん。それならちょうどいいじゃない。あそこに暇そうなのがいるわ」
そう言ってエウリュアレが指差した先にいるのはアビゲイル。
それに気付いたアビゲイルは顔を青くし、ナーサリーは目を輝かせる。
「アビゲイル! そういえば、貴女を誘ったことがない気がするわ! どうかしら。私たちと楽しいお茶会をしない?」
「えっと……あの……その……」
「恥ずかしがることはないわ。だって貴女はお客様。キラキラフワフワ楽しい世界で、クスクスコロコロ笑いましょ? えぇ、きっと楽しいお茶会になるわ!」
「…………」
どうしよう。と言いたげな視線を送ってくるアビゲイルに、エウリュアレはニヤニヤと笑いつつ、一つ、ナーサリーに聞く。
「今のところ、誰が行く予定なの?」
「えっと……そうね。暇そうなエルキドゥさんと、廊下に倒れていた小さいサンタさんを誘ってるわ」
「微妙な人選ね……」
「えぇ。そこにアビゲイル来たら、とっても面白そうだわ。ねっ? 行きましょ?」
「……アビー。一回行ってみたら? 案外面白いかもしれないよ。耐えられなかったら戻ってくればいいし」
「そうね。私たちと違って、一瞬で帰ってこれるんだし」
今まで静かにしていたオオガミと、楽しそうに微笑むエウリュアレの二人に言われ、アビゲイルは少し考えたあと、
「うぅ……分かったわ。行く事にするわ」
「ありがとう! とっても楽しいお茶会にするわね!!」
そう言って、ナーサリーはアビゲイルの手を引くのだった。
ガチャはまだですか(ガチャ欠乏症