今日のカルデア   作:大神 龍

649 / 1263
戻って参りましたよ、マスター(いつもいつの間にかいなくなってるよね)

「あら、マスター。今は休憩中でございますか?」

「あぁ……キアラさん……もうどこから出てきたのかは追及しないでおくよアーサーは?」

「彼でしたら、疲れたので温泉へ行くと言ってました。マスターも行きますか?」

「いや、今は遠慮しておくよ。まだ仕事が残ってるし」

 

 そう言って、座っていたオオガミが立ち上がると、さりげなくキアラはその後ろに立つ。

 

「……なんで後ろに立ったのさ」

「いえ、特に理由はないのですが……そうですね。ここが安心すると言いますか……」

「……まぁ、すごい不安だけどいいや。それで、なにか用があるの?」

「いえ、見かけたので挨拶をしただけで、別に用はありません。とりあえず、裏山にでも行ってみようかと」

「なるほどね……あ、後で呼ぶかもしれないから、その時はよろしくね」

「えぇ、その時はお任せください」

 

 そう言って、キアラはスタスタと歩いていってしまう。

 オオガミはそれを見送ると、木材と釘、金槌を持ち、修繕箇所へ移動する。

 

 

 * * *

 

 

「先輩ですか?」

「えぇ! 今回こそ私のライブをするの! だからそのためのステージを用意してもらおうと思って!」

 

 そう言って、ドヤ顔をするエリザベート。

 マシュは考えつつ、

 

「そうですか……まぁ先輩も聞きたがってましたし、教えるのは良いんですが……たぶん、天守閣の補修をしてるかと……」

「天守閣ぅ?」

「はい。バルムンクとエクスカリバーの余波の影響で所々壊れかけていたので、それの修繕に行きました」

「……いつの間にかマスター使いが荒くなったわよね、マシュって」

「えぇ、はい。先輩の影響でこうなっちゃいました」

「そう……マシュも大変なのね。私にはわからないけど」

「えぇ、まぁ、はい。色々あるんです」

 

 マシュに同情するエリザベート。とはいえ、その苦労はほとんどわからない。

 

「よし、じゃあマスターのところに行ってくるわね!」

「はい。先輩によろしくお願いします」

 

 そう言って、走り去っていくエリザベートを見送りつつ、マシュはふと、

 

「そういえば、ネロさんを見てませんけど……もしかして、もう向かってたりしますかね……?」

「むっ。ライブと余の話をしているということは、もしや既にエリザベートは来ていたか!? くぅっ、先を越されたか……!」

 

 いつの間にか背後にいたネロ。この真冬に水着で入れるというのは、中々な精神力と忍耐力だ。

 

「えっと……先輩は天守閣です」

「あい分かった! ではまた後で会おうマシュ!」

「あ、はい。待ってますね」

 

 そう言って、エリザベートと同じように走り去るネロを見送るのだった。




 エリザベートライブ! ネロ様の乱入あり!
 果たして耐えられるのは何人いるかな……?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。