「……手伝うか?」
「……お願いします、新シンさん」
そう言って、建築用の木材を渡すオオガミ。
新シンはそれを受け取り、打ち付ける場所に添える。
「流石に一人でやるのは無理があると思うぜ?」
「ん~……頑張れば行けるかなぁって思ったんだよ。結果はこれだけど」
「だろうなぁ……大工じゃないんだから無理するなって。ま、その分の給料は要求するけどな」
「……まぁ、出来る範囲なら」
「そうやってなんだかんだ了承してくれるところ、嫌いじゃない。さてと。そんじゃ、サクッと終わらせるとしますか」
新シンはそう言うと、どこからか金槌を取り出して、オオガミと同じように、しかし数段早く終わらせる。
「そういえば、何を要求するつもりなの?」
「いやなに、少しで良いから遊べないかと思ってな。チビ共に頼まれたら断るわけにもいかないだろ?」
「あ~……納得。確かに断れないや」
「俺が代役をするのも考えたんだが、俺は俺で役割があるらしいからな。こういう手段に出るしかないわけだ」
「ふむふむ。まぁ、この後は時間あるし、全然大丈夫だけど、誰がいるの?」
「ん? あぁ、俺に依頼してきたのは本を持った子で、後は、バニヤンとジャックと、サンタ服の子だな。後は分からん」
「ふむふむ……まぁ、想定内の四人組だね。よし、補修もこれくらいで良いか。行くよ新シンさん」
「おぅ。って、突然飛び降りてくるなっ!」
新シン目掛けて飛び降りてきたオオガミを咄嗟に受け止める。
とはいえ、受け止めてから、もしかして受け止めなくても大丈夫だったんじゃないかと思う新シン。
「ふぅ……新シンさんに受け止めて貰えなかったら瞬間強化して受け身を取るしかなかったよ」
「やっぱり受け止めなくても無事だったか……でも、あの降り方は危ないから止めてくれ。心臓が止まるかと思った」
「あはは……まぁ、新シンさんなら受け止めてくれると思ってたし。次はちゃんと言ってから降りるよ」
「いや、そもそも飛び降りして欲しくないんだが……」
「善処するよ。うん。前向きに」
「絶対やらないやつだろそれは」
「……まぁね」
「はぁ……後でマシュに報告しておくか」
「それは止めて。やめるから」
「お、おぅ……マシュは強し、というところか。あのマスターがここまで大人しくなるってのは、面白いな」
「正直洒落にならないから……」
面白そうに笑う新シンと、苦い顔をしているオオガミ。
二人はその後片付けてから、子供たちのもとへと向かうのだった。
お久しぶりな新シンさん。あと忘れ去ってるのは誰がいるかな……