「うわははは! 今年は騒ぐぞぉ!」
「えぇ! 去年の強制退去を乗り越えた私たちに怖いものなんて無いです!」
「強制退去……クリスマス……くっ、頭が痛い……何やら去年、呼び出されてすぐに何かが起こったような……
「それ、一日退去させられた可能性があるのだわ……御愁傷様」
騒ぎ出すノッブ達と、頭を抱えて思い出そうとするギルガメッシュと、哀れみの目でそれを見るエレシュキガル。
開幕からカオスだった。
「ふふっ。ドタバタな年末というのも良いわね。去年は気付いたら新年だったし。最初の年越しはこんなに人数いなかったしね」
「だねぇ……あ~……今年はエリちゃんライブ聞いてないから久しぶりに聞きたくなってきたかも」
「自殺したいなら一人でやってね。ネロも送りつけておきましょうか」
「あ~……ありかもしれない」
「……正気を失ってないかしら……」
しばらくの間聞いていなかったので、思い出に昇華されたからなのだろうか。あの地獄ライブをしようと言っているオオガミに頬を引き吊らせるエウリュアレ。
「っと、年開ける前に蕎麦を取りに行かなきゃ」
「あぁ……貴方の国の風習だったわね。でも、最初の時は食べなかったわよね」
「まぁ、余裕も無かったし、何よりも料理担当がいなかったし。今年は人がいて助かるよ」
「そうねぇ……あ、私も手伝うわ。そうすればつまみ食いも……ふふふっ」
「……そう言えば、去年エミヤに吊し上げられてた戦国武将がいたよね……」
「あぁ……彼女は、バカだったのよ……」
それは去年のクリスマスの事なのだが、誰も突っ込まない。
そんなことを言いながら厨房へと向かっていくオオガミとエウリュアレ。
「あぁ、マスターか。ちょうどいい。この蕎麦を持っていってもらっていいか?」
「うん。そのつもりだったし。天ぷらは?」
「今やっている。出来たらすぐに持っていくから、食べたい者から食べていっていいぞ」
「はーい」
エミヤに蕎麦と蕎麦汁を渡され、エウリュアレと一緒に持っていくオオガミ。
「あ、私も手伝うわマスター」
「ん、アビー。後から天ぷらが来るから、そっちを手伝ってもらってもいい?」
「わかったわ。行くわよジャック! バニヤン!」
「「おー!」」
そう言って、走っていくアビゲイル達。
「ふぅ……なんだかんだ言って、皆楽しめてるみたいで良かったよ」
「えぇ、そうね」
「あぁ、良かったよ。おかげで僕の出番は無さそうだ」
その一言に凍り付く二人。振り向くと、そこにはエルキドゥがさりげなくいた。
「やぁ、久しぶりだねマスター」
「……いつの間に……?」
「さっき、マシュ嬢に呼ばれてね」
「あ、あぁ……マシュめ、何て事を……」
そう言って、オオガミは遠い目をするのだった。
大晦日要素? さぁ……どこ行ったんでしょうね……