「……結構な量になったわね……」
「でも、たぶん足りなくなるよね……」
山のように積み上がったQPと種火を見て、苦笑いをするエウリュアレとオオガミ。
マシュは笑顔だが、ここまで集める過程で発生した種火処理に、素材がいくつか持っていかれたため、不足しているのがあるというのを彼女はまだ知らない。
「それで、これはしばらく放置?」
「するしかないでしょ。使いどころないし」
「まぁ、全員育てられる訳じゃないしね。というか、逆鱗、大丈夫?」
「……まぁ、ギリギリかな。むしろ、個数的には心臓の方が無いんだけども」
「それはそれよ。いつも言ってたメルトリリス貯金の話をしてるのだけど」
「分かってるよ……だから、逆鱗はギリギリって言ったの。うん。本当にギリギリ。だって、メルトリリスで使ったらピッタリ無くなる」
「大問題なんじゃ……?」
エウリュアレが不安そうな表情で言うと、オオガミは真面目そうな表情で、
「うん。ついでに言うと、伝承結晶が足りないからピンチ。スキルマ出来ない」
「そうね、大問題ね。バカじゃないのかしら。イベント無いのにもし元旦に来たらどうするつもりだったのかしら」
「は、反論できない……って、なんでエウリュアレがメルトを引けるかの心配してるの……?」
「っ……別に、この無駄に貯まってる種火とかを消費できる絶好の機会だもの。貴方は嬉しくて、私は心を痛めなくて、そしてきっとマシュも許可を出してくれるだろう、そういう計画よ。問題あるかしら」
「な、なるほど……確かに、常日頃からメルトの事を言っているんだから、マシュだって許してくれるはず……! うんうん。これなら完璧――――って、あれ? 今、心を痛めなくて済むって言った? なんで心を痛めるの……?」
何か今おかしいような言葉が聞こえたような? と首をかしげるオオガミに、エウリュアレはキョトンとした顔で、
「別にそんなこと言ってないけど?」
「あれ? 聞き間違いかな……まぁ、マシュが殴ってこないなら完璧。とりあえず召喚したときのためにカメラを用意しておかなきゃ……」
「……何言ってるのかしらこのマスター」
何かを決心したような表情をしているオオガミに、エウリュアレはジト目で返す。
「さてと。それじゃあ、食堂に戻ろうか。今日のおやつは何かなぁ」
「エミヤ製のチョコチップクッキーよ。美味しかったわ」
「……エウリュアレは要らなそうだね」
「もちろん私も食べるに決まってるでしょ」
オオガミの脛を蹴り、軽やかな足取りでエウリュアレは前を歩くのだった。
ふぅ……久しぶりにこの二人しか出ないのを書いた気がする。