「ひゃっほい! 新鮮な施設だぁ!」
「猛毒飲まされた人間が何言ってるのよ」
新マイルームのベッドに飛び込み、休憩するオオガミ。
若干視界が揺れるが、全く問題なかった。効いていないと言うより、慣れのようなものだ。
そんなオオガミに、エウリュアレは呆れたようにため息を吐く。
「全く……騒ぐと毒が早く回るわよ」
「マシュがいる限り平気だし、大丈夫だよ。たぶん。うん、マシュにダイレクトアタックされない限り」
「そう……じゃあ、そんな貴方に元気な彼女を突撃させてあげるわ」
「えっ?」
エウリュアレはオオガミから少し距離を取る。
オオガミがその行動に首をかしげた直後、門が開いて飛び出してくるアビゲイル。
当然、本調子じゃないオオガミが回避することなど出来るはずもなく、なすすべなくその突撃を受ける。
「あ、あれ……私の予定だと、普通に受け止められるか、もしくはかわされると思っていたのだけど、直撃するとは思ってなかったわ……」
「……冷静に言ってるけど、それ、つまりマスターが直撃を受けて倒れたってこと分かってるの?」
「……マスターしっかりしてっ!?」
「殺されるかと思った……」
いつもならば例え直撃しようがわりと大丈夫なのだが、今日のオオガミは意外にもかなり弱っていた。
流石のアビゲイルも、その状況に焦ったような表情をする。
「あのあの、エウリュアレさん。BBさんのところで寝かせたりはしないの?」
「いえ、ここが一番安全だと思うわ。それに、BBとノッブは、秘密工房を作ろうと必死だから、寝れる場所はないわよ?」
「あぁ……そういえば、またノッブさんたちの部屋はボイラー室の隣だったわね……そういう宿命なのかしら……」
「まぁ、それで諦められないのがノッブで、つまり、今全力で秘密工房を作ろうとしているわけなのだけど」
「あの二人は、放っておけばそのうち帰ってくるからね……野良猫とか、そんな感じだよ……」
「え、えぇ……いえ、まぁ、マスターが良いのなら良いのだけど……というか、マスター、本当にボロボロじゃないかしら……」
「そうねぇ……今なら攻撃、当たるかしら」
「当たったら即死なんですけど~?」
「……まぁ、死なない程度に抑えておくわ」
「やめるって訳じゃないですね。エウリュアレ様マジ鬼畜です」
「アーチャーをランサーに突撃させるマスターよりはきっとマシよ」
「おっと、その返しをされると何も言えなくなるね。ごめんなさいだよ」
そんな話をしつつ、三人は新カルデアでのんびりと過ごすのだった。
よぅし、これで遠慮なく再召喚できるんじゃないかなっ! そろそろ許されるよねっ!?