「あ~……そろそろ、慣れてきたな……」
「ダメですよノッブ。無理に動くとセンパイからの制裁が後で飛んできます」
「な~んでマスターはそういうところを見てるんじゃ。アホか。アホなのか」
「まぁ、センパイですし、仕方ないんじゃないかなぁって……」
起き上がろうとしたノッブを止めるBB。
その理由がかなり酷いが、本当にやって来そうなところが恐ろしい。
「はぁ……儂、ゲームしたいんじゃけど……」
「音が頭に響くので遠慮してください。BBちゃん、今傷心中なんですから」
「わはは。たかが熱を出して寝込んだくらいで傷心とか、それなら儂、もう死ぬしかなくなっちゃうじゃろ!」
「ノッブと違ってBBちゃんは繊細なんですぅ~! あんまり言うと泣いちゃいますよ?」
「えぇ~? BBが泣くとか想像できんし、是非とも遠慮してもらいたいんじゃけど」
「私もしたくないですけどね……でも、本当にやめてください。頭に響くので……」
ノッブよりも深刻そうなBB。
かなり弱っているので、流石のノッブもどう扱ったものかと悩む。
「うむ……なんか、甘いものでも取ってくるか。何が良い?」
「私バニラで」
「ん。わかった。少し部屋を出てくぞ~」
「行ってきてください~」
ノッブに手を振るBBは、すぐに力尽きて寝入るのだった。
* * *
「はぁ……この状態で儂以外に起きてる奴はおらんじゃろ……」
厨房へと向かうノッブ。流石に気合いで押さえつけているだけなので、未だに視界は揺れているが、それを微塵も感じさせないのは流石としか言えない。
その時、部屋から声が聞こえてくる。
「ふふふ……いえ、まだよ…。まだ私は負けてないわ……!」
「アビーは一体何と張り合ってるの……!?」
その声を聞いたノッブは、その部屋の扉を開ける。
そこには、妙に元気なアビゲイルがいた。
「何しとるんじゃアビー」
「ふぇ!? ノッブさん!? なんで!?」
「お主が耐えられるなら儂に耐えられんはずなかろう。というか、それだけ元気ならちょうど良い。ついて参れ」
「えぇ……!?」
「叔母上。流石に、それはないと思うの。アビーのは空元気とかそういうのだと思うの」
「安心せい。ダメそうだったら帰すからな。なに、アイスを取ってくるだけじゃ。ただ、儂一人だと持てるのに限りがあるからついてくればその分お得というだけじゃからな」
「あぁ、なるほど……」
「じゃあ、私も行くわ! ゴーゴーよ!」
「いってらっしゃ~い。あ、茶々はチョコが良いな~」
ノッブはアビゲイルを連れていき、茶々は少し嬉しそうな笑顔で手を振るのだった。
ノッブが若干の魔王モード入ってる気がするのはシュメル熱のせい。