「マスター。観覧車には乗らないの?」
「ん~……エウリュアレとアナの二人が降りてきたらね。まぁ、アナは気分的に拷問だろうけど」
観覧車近くのベンチで座っている6人。
エウリュアレとアナは、現在観覧車に乗って高いところへと連れていかれていた。
「ふん。あのような遊具、吾が入れるようなものではない。やはり鬼は高く広いところでなければな」
「もしかして、バラキー怖いの?」
「そ、そそそんなわけなかろう!! 吾は鬼だぞ!? たかがあのような物、怖いわけなかろう!!」
「そっかー。じゃあ、後で茶々と一緒に乗るぞ! ふはは! 逃がしはせんぞぉ~!」
「わ、吾は別に逃げぬわ! むしろ、
「ふふ~ん。茶々が逃げ出すわけないし。むしろバラキー逃げ出さないように見張る勢いだよ?」
互いに見張り合うバラキーと茶々。
そんな二人を他所に、ジャックとバニヤンはオオガミに近付くと、
「ねぇおかあさん。今からバニヤンと乗ってきても良い?」
「お願いマスター」
「ん。あ~……うん。よし、行ってきて良いよ。二人だけで乗れる?」
「うん! 大丈夫! さっきエウリュアレ達が乗るの見てたもん!」
「一緒に見てたから大丈夫だよ!」
「そう。じゃあ、行ってらっしゃい」
そう言って、走っていくジャックとバニヤンを見送るオオガミ。
アビゲイルはそれを見ていて、オオガミの頭の上に自分の頭を乗せると、
「行かせても良かったの? 待ってたんじゃなかったかしら」
「ん? あぁ、うん。あくまでもエウリュアレとアナを待ってるだけなんだけどね。あぁ、アビーは行っちゃダメだよ。一応防衛戦力だから」
「あぁ、なるほど。確かにエウリュアレさんとアナさんは大戦力よね。二人がいないと降りてきた瞬間に包囲されてるかもしれないもの」
「うん。ちなみに、アビーは緊急退避要員だから。最悪の場合すぐ逃げられるようにね。まぁ、エウリュアレとアナが降りてくれば、戻ってくるまでの間は稼げる筈だし」
「むぅ……エウリュアレさんとアナさんへの信頼が羨ましいわ」
「本人たちは時々煙たがってるけどね」
頬を膨らませるアビゲイルと、アビゲイルが頭を上に乗せてるせいで動けなくなっているオオガミ。
「……アビー。隣に座るのじゃダメ?」
「ふぇ? あ、ごめんなさい。ちょっとやってみたくなって……」
「いや、別に怒ってる訳じゃないから良いんだけどね。ただ、ちょっと顔を動かせなくなってるだけで」
「大問題よね。うん。隣に行くわ」
そう言って、オオガミの隣に座るアビゲイル。
二人はバラキーと茶々のやり取りを見つつ、のんびりとエウリュアレ達が帰ってくるのを待つのだった。
珍しくアビーが一緒という。