「あ~……来て早々BBに捕まって、流れるように作業部屋に詰め込まれるとは思わなんだ。普通新エリアなら自由に散策させてくれるじゃろ」
「作業が終わったらいくらでもしてください。でも、こっちの方が急いでるんですよ。部屋数が足りてないので、もうぎゅうぎゅう詰めなんです。ここだけは死守してますけど、他の部屋は、それはもう凄いことに……」
愚痴を言うノッブと、サボらないように見張りつつ自分は自分で作業をするBB。
「うへぇ~……つか、材料足らなすぎるんじゃよ。もっと聖杯とかみたいな、面白アイテムでもないんか?」
「そんなアイテムがあったら私が使ってないわけないじゃないですか!」
「それもそうじゃな……うむ、そうじゃ。気分転換に遊ぶか。どうせゲーム機全部残ってるじゃろ」
「あぁ、そういえば、新しい狩りゲーを入れたとかなんとか。マスターも気が利いてますよね~」
「むぅ? マスターがそんな事を善意だけでやるわけがない……これは何かあるな」
「いやですねぇノッブ。マスターですよ? そんな事を考えてるわけ無いじゃないですか~」
そう言って、さりげなく作っていたテレビを取り出し、いつの間にか持ってきていたゲーム機を繋げる。
「むぅ……儂、引っ掛かるんじゃよねぇ……まぁ、起動すれば分かるか」
「そうですね。じゃ、スイッチオーン!」
そう言って、電源を入れるBBとノッブ。
そして、気付く。
「誰かやってません……?」
「トロフィー埋まってるんじゃけど……!」
BBはほとんどを。ノッブは全てのトロフィーを埋められていた。
一体誰がやったのか。それはもう想像がついているので置いておくとしても、いくらなんでも酷ではなかろうか。
幸い、主犯は分かっていた。後は乗り込むだけである。
「センパイ許すマジ!」
「茶々ぶっ飛ばす!」
やろうとしていることは同じだが、犯人は別な二人。とはいえ、確かに犯人はこの二人なので、反論の余地はなかった。
しかし、飛び出すと言う寸前でほぼ同時に止まる二人。
「……今、スッゴい悪寒がしたんじゃが……」
「奇遇ですね……今、私も同じ事を同じ事を思ったんですよ……」
出たら殺される。そんな雰囲気を感じた二人は、一度息を整え、
「儂は右。お主は左でどうじゃ」
「乗りました。それで行きましょう」
そう言って、勢い良く扉を開け――――
「あらBB、偶然ね。それで、何をしようとしてたのかしら?」
「すいません。でも、姉様にノッブを見たら倒せ、と言われてしまったので、見逃すわけにはいかないんです」
門番のように立っていたマルタとアナに二人は半泣きで扉を閉めるのだった。
エウリュアレ曰く、
『ノッブとBBはマスターに頼まれて何かを作ってるっぽいから、完成報告か材料不足以外で部屋を抜け出そうとしたら気絶させてから部屋に戻して』
とのこと。
なお、マルタさんは通りすがりの模様。