「それにしても、本当にお前は器用ですね」
「むしろ器用なところしか取り柄がないと思うんだけどなぁ……」
最近頑張ってくれているメカエリチャンの整備をしているオオガミ。その後ろには順番待ちの二号機もいた。
ここ最近ずっと一緒にいたエウリュアレは、アナの元へと向かうと言っていなくなってしまっていた。
ちなみにBBは、昨日いなくなってから帰ってきていない。
「器用なことだけが取り柄……ねぇ……それが本当だったら、貴方のような人間が世界に無数にいることになるのですが……その場合、もう英霊を必要としない気がするのですが」
「おっと。遠回しに人外判定食らったんだけど? 全く。一体人をなんだと思っているのか」
「少なくとも、既に人の領域は越えているものだと。寿命は人間並みとしても、生命力はワイバーン並み、逃げる速度はゴキブリ並み。流石にただの人間とは言いがたいのですが」
「……まぁ、攻撃力はないし、問題ないでしょ。一般人の領域を出ないって」
「私のデータと比べると、十分異常なのですが……」
「私も同じです。私たちが揃ってなお結果が変わらないということは、やはり一般人では無いのでは……?」
「…………」
二人に言われ、黙ってしまうオオガミ。
若干自覚はしていても、ここまではっきり言われると心に来るものがあった。
「あぁもう。そこまで人外扱いしたいならすれば良いさ! 俺は断固として認めないけどね!」
「なぜここまで言われて認めないのか……いえ、私としても、ここで人間ではないと結論付けると、私のパイロットは人間ではないことになるのでは……?」
「そ、それは問題です。大問題です。マスターは人間でないと、私たちが悪役になってしまいます!」
「悪役サイドの人型ロボット兵器だよねぇ……バベッジさんも、似たような感じ。どっちもロマンを感じる……あれ、今なら英霊ロボット大戦出来るのでは?」
「いや、流石にそれは……」
「無理だと思いますよ、マスター」
「……うん。XXさんいないし、是非もないよね……」
そもそもロボット系の英霊が少ないのだが、誰もそこを突っ込まない。
「でも、ロボット英霊が増えるのはワクワクするよねぇ……バベッジさんみたいなのが増えるのもありかも」
「正直、増えられると個性を奪われている感じであまり好きではないのですが……」
「私も、出来ればこれ以上増えないのが最適ですね。このボディに勝るものはいないと思いますが、もし現れたら、それを破壊したくなってしまうので」
「ひゅぅ……破壊的ぃ……」
二人の発言に戦慄しつつ、オオガミはメカエリチャンの整備を仕上げるのだった。
作成は出来なくとも整備は出来る。そんなオオガミ君……そして、さりげなくメカエリチャンが出たのはこれが初めてなんじゃ……?