「っはぁ~……いやぁ~、特異点ってなぁとんでもねぇ。こりゃ南蛮のど偉ぇ大工がやったんだろなぁ……描きがいがあるってもんよ!」
「いや、これは事故が原因なのだが……あぁ、うむ。これは聞いていないな。吾分かる。びぃびぃとマスターが悪巧みしてるときくらいだ」
自分の世界に入り込んで絵を描く北斎と、その後ろでため息を吐くバラキー。
さりげなくとばっちりを受けているオオガミとBBだが、あながち間違ってもいないので否定するのは誰もいない。
「それにしても、今年もこれを見れるとはなぁ……うむ、酒呑にも見せたかった……」
「あん? 酒呑って、あの酒呑童子かい? そういやアンタはあの茨木童子か。そりゃ縁もあるわけだが……うちにはいねぇってことは、つまり召喚されてねぇってことか」
「……あぁ、そういうことだ。吾も召喚できないかと思ってはいるが、それを提案するとマシュの視線が痛くてな……」
「あぁ~……それは分かるねぇ……あの視線は強烈さぁ。冷や汗たらたらだよ全く」
「うむ……なんとかして召喚してもらいたいのだがなぁ……」
うんうんと悩むバラキーに、苦笑いを向ける北斎。
マシュの怒っているときの目は、明確な殺意が見えるので、流石に受けたくないというのが共通認識だった。
とはいえ、その視線を受けても平然としているのがオオガミなので、ある意味最強なのではなかろうか。
「……しかし、去年は無かったが……あれはあれで面白そうよのぅ……」
「あん? あぁ、あのデカブツ同士の喧嘩ねぇ……いや、ちょいと待ちな。普通に面白そうじゃねぇか。これはこれで描きたいねぇ……」
ギルガメッシュと茶々の二大コンビで再び行われている黄金装飾。今回はロボっぽいものを重視した巨大な鎧をバニヤンに装備させ、巨大メカエリちゃんを威嚇するという状況。
それを見て、建物と喧嘩のどちらを描こうか悩んでいる北斎に、バラキーはため息を吐いて、
「描けば良いだろう? やりたいことをやりたいときにやりたいだけする。それが鬼の流儀よ」
「へぇ……鬼ってのは案外いいこと言うじゃないか。いいね、じゃあ描こうか。建物ってなぁ簡単には消えんが、ありゃそんとき限りだからな。描く他無いね!」
「うむ、そうだな。ただ……この、チェイテピラミッド姫路城は……倒壊しそうな勢いだから、気を付けないとダメだぞ」
「……まぁ、倒れてきたらそんときさ!」
そう笑い飛ばして、北斎絵を描き続ける。
バラキーはそれを見て若干楽しそうにしつつ、傍らに置いていたマカロンに手を伸ばし、
「…………」
その手は空を切る。
疑問に思い視線を向けると、そこには代わりとばかりに一枚の紙が。それには、
『怪盗茶々参上! マカロンは貰っていくねっ!』
と書いており、暫しの硬直。そして、
「また盗まれたぁーーー!!」
去年の反省を生かせず、今年もマカロンを奪われた鬼の姿が、そこにはあった。
昔を見直し、ふと、初期の頃は注意とかなかったんだな。と気付いた私です。良いのかこれは……修正した方がいいのか……?
そして、さりげなくマスターもエウリュアレも出てこない珍しい回。
あ、日間18位! ありがとうございます! これからものんびり書き続けますね!