「……やっぱり、本人を連れてきた方がいいわよ」
「……やっぱり、メディア大先生に頼むしかないか……」
遠い目をしながら、両手にいくつもの袋を持っているオオガミ。
その隣で、エウリュアレも遠い目をしていた。
その後ろでは、アビゲイルが自分たち用に買った服をポイポイと門の中へと投げ込んでいっていた。
「とりあえず落ち着いたクリーム色のコートとか、女性用のジーンズとか買ったけど、他に何を買ったの?」
「私は自分で選ぶ事は無いし、とりあえずマシュに任せたわ。確か、黄色いフレアスカートに白いシャツだったわ。後は普通に白いワンピースとか? これは最悪私が着るのもアリね」
「スカディ様のサイズじゃエウリュアレは着れないでしょ」
そう言った瞬間に脛を蹴られるオオガミ。
わりと力を入れて蹴ったので、オオガミはその場に蹲ってしまう。
「普通にスーツとかも似合う気がするけど、明らかにこう、なんというか、『違う』のよね。だから、スカート系にしようかと思ったのだけど」
「うぐぐ……まぁ、確かに、スーツはね……普段着にはどうかと思うし。まぁ、普通に部屋着とかも買って来ようか……」
「ハッ……パジャマ……? 私、いままでこのままだったけど、流石に問題よね……買ってこようかしら。よし、もう一回よ」
「マジか。一回スカディ様に見せてからもう一回来ようかと思ってたんだけど」
「それは貴方が一人でやって。私はもう一回行って自分の分を買ってくるわ。行くわよアビー」
「えっえっ、あ、分かったわ! ちょっと待ってくださいな!」
そう言って、アビゲイルと一緒に再び店に戻って行くエウリュアレ。
置いていかれたオオガミは、どうしたものかと考えた後、
「まぁ、別にエウリュアレがいなくちゃいけないわけじゃないし、一回帰ってまた来ればいいか……マシュはどうする?」
「あ、私ですか? 私は、そうですね……先輩について行きます。一応、スカディさんに直でオススメしたいですし。やっぱり、先輩に伝えてもらうのと、自分で伝えるのは違う気がするんですよね」
突然話を振られたマシュは、一瞬困惑するも、すぐに答える。
それを聞いたオオガミは、
「まぁ、確かに。じゃあ、行こうか」
「はい、先輩!」
そう言えば、マシュと二人きりで歩くのは久しぶりだな。なんて思いつつスカディの元へと向かうオオガミ。
マシュは自然な様子でオオガミの左手から袋を取ると、いつもより上機嫌になっていた。
そうして、二人はエウリュアレ達を置いて戻るのだった。
明日にはニューヨークに旅立つとは思えない平和さだ……
まぁ、買った服はいつか見れるって事で。まぁ、憶えて入ればですけど……