「風紀の乱れは気の乱れ……要するに、この状況は私的に見逃せないわ!!」
オオガミの部屋に乗り込んできて、そう言いきったマルタ。
それを唖然としながら聞いていたオオガミ達は、その言葉を理解すると同時に、
「アビー! 門を開いて! 逃げるよ!!」
「BBは荷物を持って! 早く!! 座に還されるわよ!!」
「もう開いたわ!」
「持ちました! 逃げますよ!!」
「逃がすか!!」
逃げ始めると同時に攻撃を仕掛けてくるマルタ。
攻撃が当たる寸前でアビゲイルが触手を使って防ごうとするが、防ぎ切れずにオオガミの顔の真横に拳が来る。
「ひっ……!!」
「危ない危ない。うっかりマスターを殴るところだったわ。さ、観念しなさい!」
「が、ガンド!!」
殺されそうな雰囲気を感じたオオガミは、ガンドを使って拘束して全力で逃走する。
何とか門を潜って逃げた先は倉庫。今日は種火を集めていただけなので、アビゲイルに運んでもらうだけで済んでいたので、マシュ達は休んでいる。
そして、この後マルタからどうやって逃げるかを相談していると、
「ここに逃げたのは分かってるのよ!」
そう言って、倉庫の扉が開けられる。
とりあえずアビゲイルに門だけ開かせ、後は逃げるタイミングだけだった。
そんなときである。
「あらあら……見ない方がいらっしゃいますね?」
「……こっちの方が危ない気がするわ……!!」
響いてくる声は、マルタとキアラ。
一番最初に反応したのはアビゲイルだった。
「ま、マスター……! 私、今すぐ逃げたいのだけど……!!」
「い、今のタイミングは危ない気がする……」
「いえ、今のうちに逃げた方が良いわ。これ以上は巻き込まれる可能性があるもの」
「BBちゃんもそう思います……撤退です撤退」
「……よし、じゃあ逃走で」
そう言って逃走するオオガミ達。
逃げ先はキッチン。マルタが暴れるよりも先に、真顔でキャットとエミヤが止めてくると踏んでここへ逃げ込んだ。
「ふぅ……ここまで逃げれば大丈夫でしょ。休憩しよう、お菓子とかないかな」
「あ、私も見に行って良いかしら」
「私も行くわ! ちょっと一人ではいたくないもの」
「BBちゃんは、マルタさん対策を考えておきますね。一番最悪なのは、マシュさんと手を組まれることですが……まぁ、無い事を祈るしかないですね」
そう言って、お菓子を探しに行くオオガミ達と、対策を考えるBBに分かれる。
「ところで、お菓子って、誰が補充してるの?」
「いや、分かり切ってると思うけど、エミヤと俺でやってるよ。キャットもたまにやってくれるけど」
「ふぅん? そんなに保存できないんじゃないの?」
「だからほら、エウリュアレが毎日食べる事になってるわけだよ」
「……私、そんなに食べてるつもりはないのだけど」
「まぁ、ジャックとバニヤンにも渡してるしね」
「私も食べてるし! 美味しいよね!」
とはいえ、手軽に作れるクッキーはあまり保存がきかないので、長期保存が出来るように頑張りたいオオガミだった。
「さてと、んじゃ、適当に取ったらBBの所に戻ろうか」
そう言って、オオガミ達はお菓子を選ぶのだった。
キアラさえぶつけて置けば、風紀委員も形無しよ……それだけ危ないって事ですね。はい。
さて、本格的にマルタさんは強敵。アンリじゃ勝てないだろうし……うぅむ。