「う~ん……どうしようか」
「どうするって、何がよ」
机に突っ伏しながら呟くオオガミに、邪ンヌが聞く。
オオガミはぐでっとしたまま、
「いやね? そろそろオーロラ鋼も集め終わったし、次はやっぱり種火を集めるべきかなって思って」
「ふぅん? まぁ、良いんじゃない? 種火はあっても困らないでしょうし」
「……まぁ、それしかやることないしね」
そう呟きつつ、机の上に置いておいた煎餅をバリバリと食べるオオガミ。
そんなオオガミを見ていた邪ンヌは、ふと、
「ねぇ、オーロラ鋼を集め終わったって事は、つまりあの女王のスキル上げは終わったって事?」
「まぁね。って言っても、最低限しかやってないよ? 第一スキルと第三スキルだけだし。まぁ、それだけあればしばらくは大丈夫でしょ」
「そう……第二は後でもいいのね」
「上げといた方が良いのは確かだけどね。でも、急を要するものではないって感じかな」
そう言って、二枚目に手を出すオオガミ。
釣られて邪ンヌも煎餅を食べ始める。
「……それで、私のスキルは何時上がるの?」
「未定。そもそも、貝殻使う人は放置予定」
「ふぅん……じゃあ私は放置されるの?」
「うん。まぁ、お姉ちゃんの方は、システムが出来るかどうかで育成が決まるけど。アーチャーの石は余ってるしね」
「なんでアイツが出来て、私が出来ないのよ!! おかしいでしょ!!」
「キレられても困るんですよお客様ぁ!!」
オオガミの襟を掴んで怒る邪ンヌと、悲鳴を上げるオオガミ。
そして、そこに颯爽と現れる黒い影。
「邪ンヌさん……何をしているの?」
「ひっ!」
「あ、アビー。いや、これはあれだよ。じゃ、じゃれてるだけだから。ステイステイ。アビーが殴ると邪ンヌが吹っ飛ぶ」
「えぇ、そうね。相性不利に加えてレベル差20ですもの。苦しませないわ。一ターンで消し飛ばす」
「ちょっと、殺意が全く薄れないんだけど……!?」
一撃で消し飛ばすくらいの殺意があふれるアビゲイル。
それに対し、邪ンヌだけでなくオオガミも頬を引きつらせている。
「と、とりあえず手を離そう邪ンヌ! このままだと俺まで巻き込まれる!」
「諦めなさい。死なば諸共よ……!!」
「そんな理由で死にたくないんだけど!? というか、なんでアビーは微笑んだまま固まってるの!? ここ最近で一番の理不尽だと思うんだけど! 邪ンヌよりジャンヌを優先するかもしれないってだけでシバかれる理不尽さ……!!」
「大体いつも理不尽に攻撃受けてるくせに、なんで私だけ理不尽さを強調されなくちゃいけないのよ……!?」
「大丈夫よ邪ンヌさん。だって、二人まとめて吹っ飛ばすもの」
「「犠牲はこっちだけで!!」」
そう言った直後、二人は吹っ飛ばされるのだった。
どうしてこうなった……と、とりあえず、これでスカスカシステムは安定するはず……邪ンヌはもう少し放置ですかね。