「うんうん。同人活動も一段落したし、後はBBをぶっ飛ばすだけ。これで安心して遊べるわけです」
「えぇ、そうね。海に行きましょ、海。これでようやく泳げるわ」
「うむ、うむ! 吾も遊ぶぞ! 海は昨日アビゲイルに捕まって酷い目に遭ったが、何。見つからなければ遊べるだろうて!!」
仕事から解放され、砂浜で仁王立ちして目を輝かせるオオガミ、邪ンヌ、バラキーの三人。
ちなみに、バラキーは昨日海辺でアビゲイルに振り回されている時に一瞬の隙をついて仕切り直しで逃走を図った。結果はここにいる事から察する事が出来るだろう。
「というか、茨木さんは昨日何をしてたんですか? 結構悲鳴が届いてきたんですけど……」
「ん? あぁ、それはだな……正直吾にも分からん。ただ、山の頂上で街を見下ろしてたら突然背後にアビゲイルが現れて、追いかけてきてな。昼くらいから夜までずっと追われてた。たぶんエウリュアレが犯人だな」
「正解。バラキーと久しぶりに会えたから、ちょっと悪戯しちゃったわ。まぁ、エルキドゥよりはマシだったんじゃないかしら」
「……まぁ、そうなのだが……捕まってからの扱いは明らかにエルキドゥの方が良いのだが……」
当然の様に背後から出てくるエウリュアレに、バラキーは何とも言えない表情をしつつ、捕まった感想を交えて答える。
それに気づいたオオガミは、
「……エウリュアレ、財布返して。たぶんほとんど使ってるでしょ?」
「そんなに使ってないわよ。えぇ、本当に。半分くらいしか使ってないわ」
「半分も減ったのか……いや、全然いいんだけどさ。うん。大丈夫、まだ致命傷。とりあえず財布はマシュに預けておこう」
「分かりました。ちゃんと預かっておきますね。私も泳ぎますけど」
「……うん。自分で管理しておきます」
エウリュアレから財布を回収して、マシュに預けようとしてからマシュの返答に硬直し、そのまま自分のバッグの中に入れた。
それを見ていた邪ンヌは、
「よし、じゃあ準備はいいわね。ビーチバレーやりましょ、ビーチバレー。定番らしいし。ロビン、準備できるわよね?」
「えっ、オレに投げるの? オタクらが勝手にやるのを止めやしないが、こっちにまで飛び火させんな――――待て待て分かった分かった。準備するから刀を抜くな。それ普通に痛いんだよ」
「分かったならいいわ」
「ったく、なんでこんな役回りなんですかね……」
「あ、手伝うよ。だって、ビーチバレーの選手側にされたら死ぬ」
「いや、マスターなら大丈夫でしょ。筋力強化しとけば跳ね返せるんじゃね?」
「ロビンさんも人外扱いしてくるんですか。良いんですよ? 俺はBBを引きに行っても。来年にしようと思ったけど、今年が良い?」
「おっと、さっきの言葉は撤回するから本気でそれは止めてくれ。もうこれ以上俺の心労を増やしたくない」
「じゃあレッツゴー」
そう言って、オオガミとロビンは邪ンヌの要望に応えるために道具を一式取りに行くのだった。
エウリュアレが最近アサシン並みの気配遮断してくる……我が家において暇人は性能がバグる仕様になってます。きっと。