「明日……ね」
「決戦の時は近付いている……石の貯蔵はある程度はある。呼符も17枚までならある……ならば後は開戦を待つだけよ……」
「スッゴい近年稀に見るマスターの本気顔なのだけど、水着イベントってそこまで本気になるものだったかしら……」
真剣な顔で石と呼符を確認するオオガミを不思議そうな顔で眺めるアビゲイル。
エウリュアレはそんなオオガミに目もくれず、借りた本を読んでいた。
「……ねぇエウリュアレさん。それ、面白い?」
「えぇ、意外と面白いわよ。読む?」
「読みたいけど……でも、今持ってるのは一冊だけでしょ? 読み終わったらで良いわ」
「あぁ、いえ。これ、一応読み終わっているのよ。読み返してただけ。だから良いわよ」
「そう? じゃあ、読ませてもらうわ」
そう言って、エウリュアレから本を渡されたアビゲイルは、椅子に座って読み始める。
それと入れ替わるように、オオガミの背後へ近づいたエウリュアレは、
「ねぇ、背中に文字を書いて当てる問題、あったじゃない。あれ、やってみない?」
「……まぁ、良いよ。エウリュアレからやる?」
「そうさせてもらうわ」
そう言うと、エウリュアレはオオガミの背中に指を乗せ、まずは横に一本線を引く。そして、先程の横線の中央より少し高いところから垂直に下ろし、交わって少し進んだところで左側に小さい円を作り若干左下へ向かうように払う。
続いて上下二本の平行な横線を書き、左斜め上から右斜め下へ向かうように引いた後、ほぼ真横に払う。そして、その左下辺りに緩やかなカーブを描いた短い線を引き、終わる。
「どう? 分かったかしら」
「ん~……もう一回。って言いたいけど、止めておこう。じゃあ、こっちの番だね」
「答え合わせ前に出題? まぁ、良いわよ」
不敵の笑みでエウリュアレは背中を差し出す。
オオガミはその背中に指を当て、まずは真っ直ぐな縦線を一本。そのまま指を離さずに、先程の半分ほどの長さで一本引く。
次に縦長の円を描く。
今度は左上から右下へかけての斜め線。そしてそのまま指を離さずに右上へと上がって指を離す。
最後に横線を引き、その左端から横線の二倍ほどの縦線を引き、その中央から、右に向かって横へ真っ直ぐ引いて、同様に一番下も引く。
「……分かった?」
「えぇ……これ、答え辛いわね」
「うん。分かってくれて何よりです。じゃあ、そろそろ厨房に行こうか。マシュに怒られたくないしね」
「えぇ、そうね。アビー、行くわよ」
「ふぇ? あ、ちょ、待って! すぐ行くわ!」
先に出ようとしているオオガミとエウリュアレに置いていかれまいと、アビゲイルは椅子から立ち上がるのだった。
文字当てヒント。エウリュアレはひらがなで2文字。オオガミは大文字アルファベットで4文字です。
後、一行につき一文字書かれてます。
分かった人はもれなく感想欄か私へのメッセージでドヤ顔出来ます。ヤッタネ