「……明後日かぁ……」
「明後日ねぇ……」
「むぅ~……明後日にならないとお外に出れないのね!」
「マスターご飯~」
「……人も、増えて来たねぇ……」
右腕をエウリュアレに、左腕をアビゲイルに、そして肩車の様にバニヤンに乗られつつも本を読むのを止めようとはしないオオガミ。
明後日の水着に備えてオーロラ鋼集めをQP周回に変更して稼いでいた。
「とりあえず、QPはある程度貯まったけど、足りるかなぁ……」
「まぁ、何とかなるんじゃないかしら。問題は種火が足りないと思うわ」
「後は、素材に新素材を使わなければ完璧ね」
「そうだったら致命傷だなぁ……うん。とりあえず、バニヤンの要望に応えてご飯にしよう。今日はパスタで行こうか」
オオガミが起き上がろうとするが、降りるつもりは一切ないバニヤンと両腕にくっついて離れそうにない二人に頬を引きつらせる。
だが、何とか起きて厨房へと向かう。
「……邪魔じゃないの?」
「邪魔な自覚があるなら退いてくれるとありがたいんだけどね?」
「それでも私は退かないわ」
「もちろん私もね?」
「両腕の女神が邪魔過ぎる……」
そんなことを言っていると、その両腕の女神が徐々に力を入れてきているので、腕がゆっくりと悲鳴を上げていく。
涙が出そうになってきたオオガミは、しかし反撃する事も無くなされるがままにしている。
「そ、それで、何か要望はある?」
「あ。マスターの国のナポリタンっていうの食べてみたい!」
「トマトバジルパスタ」
「カルボナーラが良いわ!」
「見事にバラバラ。でもこなしてやろうと思うのが私です。やったろうじゃねぇか」
「頑張ってマスター!」
「期待してるわ」
「楽しみに待ってるわね!」
三人が三人とも違うものを頼んでくるが、オオガミはやり切るつもりだった。
そんなこんなで厨房に着くと、中から何か聞こえる。
気になって入ってみると、
「どうしてそれをくれぬのだ!」
「夕飯前だ、我慢してくれ。その後ならいいんだが」
「そうだワン。それでキャットの料理を残したらみじん切りにしてスープに混ぜるぞ」
「君のそれはやり過ぎだがな……まぁ、夕飯を食べたらデザートを特別に用意しようか」
「む。それは確かだな? なら良い。待たせてもらう」
どうやらスカディとエミヤ、キャットの三人がアイスを巡って言い争っていたらしい。
そんな中にオオガミは入って行くが、なぜかこちらに気付いたスカディからの視線が痛かった。
オオガミが厨房に目を向けた瞬間にその場から離れるエウリュアレ達。
「えっと……厨房借りて良い?」
「あぁ、良いぞ。何を使う?」
「キャットは見抜いたぞ。さてはご主人、その三人の料理を作るのだな? そうはさせんぞご主人! ご主人の料理はこのキャットが作る!」
「あぁ、じゃあ、俺の分はキャットで、それ以外は俺が作るって事で。それなら問題ないでしょ?」
「むむむ。よろしい。それで手を打とう。請け負ったぞご主人」
「よろしくキャット。じゃあエミヤ。いくつか欲しいんだけど、あるかな」
そう言ってオオガミが厨房に向かったところで、スカディの近くを陣取るエウリュアレ達。
そして、ぼんやりとオオガミ達を眺めるのだった。
実はオオガミ君は幼稚園の先生と言う気分で書いてたり……それがなぜかハーレム野郎に見える不思議(迫真