「チックショウ!! 個人的には外れだけど、戦略的に言えば当たりという、何とも言えない悔しい状況っ!!」
「荒れてるわね……いえ、無理もないと思うけど」
「いやぁ、むしろ来た瞬間にこんな状況になってるってのも、荒れたくなるような状況なんだがなぁ……」
「マスターは、その、いつもこんな感じなのよ。あまり気にしないでね、北斎さん」
トレーニングルームでアンリに八つ当たりしているオオガミを見て、エウリュアレが呆れたような表情をしている。
そして、その後ろで状況がいまいち掴めていない北斎と、アビゲイル。
「それで、今回は北斎が来て、荒れてるのね。というか、宝具レベルが2っていうの、どうなってるのかしら」
「こっちだってそれは思ったけども! でも、来たんだし、是非もないよね!」
「嬉しさを上回る悔しさがあるのはわかったから、とりあえず攻撃を止めねぇか? なんで魔術は素人の癖に、こんなに物理攻撃だけこんなに威力あんだよ……」
「スパルタ式! レオニダスブートキャンプのせいだね、諦めて!」
「身体強化を含めて殴ってますから、普通に危ないですよ、その人」
「なんだそれ……魔術素人ってなんだっけ。絶対嘘だろ」
「生死の境をさまようような戦いを二年近くやってたら、自然とそうなるわよ。というか、私たちの攻撃を避けるレベルよ? 割とシャレにならないわ」
「……もう八つ当たりを受けるの止めるわ。死ぬぞコレ」
「アンリだからきっと大丈夫よ。何とかなるわ」
「その無駄な信頼要らねぇし、分かっててその役目を渡したエウリュアレとアビゲイルは後でささやかな報復をしてやる」
「あら、矛先をこっちに向けるのね?」
「負けないわよ?」
恨みがましい視線を向けるアンリは、微笑み返してくるエウリュアレと、謎のやる気を出しているアビゲイルの二人の反応を見て、半泣きになりながらオオガミの攻撃を避け続けていた。
それを見ていた北斎は、
「あ~……なんだか、あたいは邪魔な気がしてきたねぇ……」
「割と、いつもの事よ。いずれ慣れるわ。それより、シャドウ・ボーダーの中を案内しようかと思うのだけど、どうかしら」
「お、そりゃ本当かい? なら、お願いしようかね。御礼はあんたの肖像画とかどうだい?」
「あら。それは楽しみね」
「あ、ズルい! 私も行くわ! フォーリナーの先輩として、色々教えるの!」
「おぅおぅ、そりゃ楽しみだね。んじゃああたいの作業部屋が出来たら、色々と描いてあげるさ。楽しみにしときな!」
「本当!? とっても楽しみだわ! じゃあ早く行きましょ!」
そう言って、北斎と案内をしようとしていたアナスタシアの手を引いて、部屋の外へと出るのだった。
北斎とサリエリの二枚抜きは嬉しいけど、違う、そうじゃない!!
まぁ、メルトは復刻しますし! 全然! 泣いてませんし! も、問題ないですしぃ!?(吐血