「うっそぉ……初めて最後まで縛りを破らないで完走したわ……」
「ほ、本当に私の出番が無かったのだけど……!」
空想切除。神話対戦の如き戦いを駆け抜け、帰って来たオオガミ達。
マシュは嬉しそうに笑い、茶々は最後まで出番が無かったので不満そうだった。
「聞いてエウリュアレ!! 茶々、結局放置されてたんだけど!! さりげなく暖房扱いだったんだけど!!」
「あぁ、だから妙に寒かったのね……ここで見てる時、ゆっくりと気温が下がっていくから、辛かったわ」
「寒かったわ……茶々さんの所にも門を開いておけばよかったかしら」
「いや、二人とも、シャドウ・ボーダー内なら暖房かかってて温かかったでしょ……?」
「どうしてそう言う事言うのかしら」
「そうよマスター。ここは適当な事を茶々さんに言って、混乱させるのよ」
「実はこの二人が一番の敵なんじゃないかなって、茶々は今思ってるよ」
エウリュアレとアビゲイルの言葉に、戦慄する茶々。
オオガミは苦い顔をするが、大体いつも通りなので、特に何も言えない。更に言えば、オオガミも同じ扱いにされることが多々あるので、何か言えるわけも無かった。
「それで、マシュが凄い良い笑顔なんだけど、何かあったのかしら」
「そりゃもう、前線で張り切ってたからね。最後まで頑張ってくれたから、それでじゃないかな?」
「えぇ。久しぶりに暴れられましたから! 普段のストレスも含めて、精一杯やりましたとも!!」
「……酷い話ね。ストレス発散で殴り飛ばされる巨人……まぁ、そう言う事もあるわよね」
戦いに出る度に言っているような気もするが、マシュが満足そうなので気にしないことにする。
なので、新素材により整理がまた面倒になった倉庫は、アビゲイルと一緒に手伝いに行こうかと考えるエウリュアレ。
「さて、じゃあ、次の異聞帯まで休憩かしらね。また宝物庫?」
「そうなるね。まぁ、宝物庫はアナスタシアの出番なのだけども」
「茶々お休み!! やったぁ!! これでゆっくり遊べる!! 後は任せた!!」
「えぇ、ヴィイは全てを凍てつかせてくれるわ。でも、三連続を何度もやるのは疲れるわ」
「マスター、本当にとんでもない事するよね……三連続宝具とか、よくやるよね」
「普通にやるけども。むしろ、一回キアラ運用も考えてたけども。スキルが足りなかったよ」
「スキルが足りてたらやったの……?」
「まぁ、マスターならやりかねないわね」
茶々の困惑に対し、エウリュアレは冷静に判断した。
ちなみに、キアラに関しては本当にスキルレベルが上がってたりする。
「じゃあ、とりあえず宝物庫周回行ってくる」
「行ってらっしゃい」
「じゃ、茶々は遊んでくる」
「私も行ってるわね」
オオガミを見送るエウリュアレと、遊ぶために部屋に向かう茶々とアビゲイル。
そして、マシュは倉庫整理に自然と向かうのだった。
最後の三連続が強かった……そして、何気に初めての縛りで完走……