オオガミの部屋。そこはわりとサーヴァントが乗り込んできたり、占領されたりする部屋だが、一応マスターの部屋なのは確かだ。
そんな部屋で、ベッドで横になりながら考え事をするオオガミ。
「……そろそろ次の異聞帯かぁ……北欧とか、なんか色々出てきそうな感じ凄いよねぇ……」
神話だとわりと残念そうな神が多い気もするが、性能が高いのは確かだろう。まぁ、神霊がどれ程現界出来るのかは置いておくが。
「まぁ、いつも通りのんびりとやるしかないよねぇ……」
そう呟き、だんだんと重くなってくる目蓋を下ろし、寝始めるのだった。
* * *
「まぁ、暇になったらここに来るのが一番よね」
そう言って、堂々と入ってきたのはエウリュアレ。
もはやエウリュアレにとって、オオガミの部屋は自室のようなものだった。
「って、あら、寝てるのかしら」
目をつぶって規則正しい呼吸をしていて、更にエウリュアレが入ってきたことに気づいてない辺り、ぐっすり眠っているのだろうと推測するエウリュアレ。
どうしようかと考えたエウリュアレは、とりあえずオオガミの腕の中に背を向ける形で潜り込み、改めて何をするかを考える。
「ん~……ゲームはいつもと変わらないのよねぇ……」
久しぶりにトランプ等でもやろうかと思ったが、全員整理を手伝っている上に、最後の頼みの綱であるオオガミは寝ていた。
なので、どうしたものかと考えるのは自然なことだろう。
「……それにしても、本当にぐっすり寝ているわね……何しても反応しないんじゃないかしら。落書きでもしましょうか」
そう思い立ち、行動しようとオオガミの腕をどかそうとした瞬間、逆に力が込められ、抱き締められる形となっていた。
「ちょ、この状況は流石に不味いわ。どうして寝てるのに、簡単に振りほどけないように捕まえるのか……! さては起きてるんじゃないでしょうね!?」
しかし、後ろにオオガミの顔があるため、エウリュアレからは見えない。そのため、起きているかどうかも不明だった。
その後もエウリュアレはなんとか抜け出そうと必死にもがくが、一向に抜け出せる気配はなく、そのうち疲れて諦め、そのまま寝てしまうのだった。
* * *
「ようやく解放されたわ! 遊びましょうますた……あ……?」
そう言ってオオガミの部屋の扉を開けたアビゲイルが真っ先に見たものは、寝ているエウリュアレを背後から抱き締めて同じく寝ているオオガミの姿だった。
「な、なっ……何をして……ハッ!!」
思わず叫びかけ、一瞬にして状況を再認識したアビゲイル。
すなわち、『今ならさりげなく一緒に寝れるんじゃないか』という事に気付いたのだ。
「ふっふっふ……扉にロックをかけて、門でマスターの背後まで移動っ!」
言葉通り、オオガミの部屋の扉に鍵を掛け、門を使って音も無くオオガミの背後に横になった状態で移動。そのまま首を絞めない程度に抱き締める。
「これでようやく休憩できるわ。ふふん。特等席ね」
得意気な表情のアビゲイル。だが、やはりマシュの作業を手伝ったのはかなり疲れたのか、あまり騒ぐこともなくすぐに寝息をたてるのだった。
最近エウリュアレとの絡みが目立ってきてる気がする……そろそろ他のサーヴァントも出さないと……