「ふ、ふふふ……ふふふふふ……!! コレが一人四コントロールプレイよ!!」
「さっすがアビー! 出来ると思ってた!!」
「全部の画面を見る方だけでも難しいと思うのだけど……」
「いや、それ以上に、そもそもやろうっていうのがどうかと、茶々は思う。昨日に引き続き変態プレイを見る茶々の気持ちにもなってよ。なんか要求されてるみたいじゃん」
触手を運用したコントローラ四つ同時操作でモンスター狩り。
明らかに無理に思えるが、悪い子モードのアビーはその無茶をこなしていた。
そんな様子を見て、茶々もこういうのを覚えろという遠回しな何かなのかと勘繰る茶々。当然、三人ともやってみたというだけの話で、他人に強要するつもりはないのだが。
「ま、マスター……そろそろ辛くなってきたのだけど……!!」
「行ける行ける! あとちょっとで倒せる!」
「初戦をネギにするその勇気だけは凄いと思うわ。真似したいとは全く思わないけど」
「ていうか、普通に戦えてるの凄いんだけど。ナニコレ、絶対裏で練習してたでしょ。ビックリなんだけど」
善戦どころか、倒しそうな勢い。一キャラだけ異様にうまいからというわけでもなく、四キャラともちゃんと立ち回っているのだから恐ろしい。
仮にも看板モンスターなのだから、こんなヘンテコプレイしてるようなのに負けるなよ。と内心突っ込む茶々。だが、看板モンスターは基本派手なだけで強くないのが、悲しいことによくあることだ。
「寝た……! でも、今がチャンス……! ここで爆弾を置いて、一斉竜撃砲!」
「ロマン砲……! 大爆発の確信……!!」
「派手さは大事よね」
「んん……? エウリュアレとは思えない発言が聞こえた気がする……」
「「バースト!」」
ちゅどーん。という音と共に爆発で真っ白になる画面。そして、直後にクエスト達成のお知らせ。
乙無し完全勝利だった。
ここは一周回って全滅エンドでもありだったんじゃなかろうかと茶々は思うが、このみんなが喜んでいる状況でそんなことが言えるはずもないので黙っていた。
「ふふん! 頑張ればこれくらい出来るわ!!」
「さっすがアビー! 出来ると思ってた!!」
「流石ね。これからも頑張りなさい」
「いや、努力の方向性も褒める方向性も間違ってるから。むしろよくあんなプレイさせたよねって、茶々は心から思うのです」
「はい、そうですね。なんでアビーさんはここにいるんでしょうか」
ふと聞こえた、いないはずの5人目の声。
それは扉から、オオガミ達を、特にアビゲイルを見ていた。
そう、マシュである。
「アビーさん、私は遊ぶのは悪いとは思いません。むしろ程々のは良いと思います。ですが、触手で身代わりをして逃げるだけならまだしも、その触手を暴走させるのは些か問題だと思うのですが、どう思います? 先輩」
「……どうぞ、マシュ様」
「自然に売られた! 酷いわマスター! 私にくれた聖杯は偽りだったの!?」
「これ以上マシュを怒らせると色々な意味で死ぬ。わりとマジで。後、余計なことを言って場を混沌とさせようとするのは良くないと思う。お互いのためにも」
「えっ……?」
アビゲイルがそう呟いたとき、マシュは満面の笑みを浮かべながら、
「それじゃあ失礼しました、先輩。想定外のアクシデントで時間がかかってますが、明日には終わらせますので、宝物庫。よろしくお願いしますね? あと、アビーさんは後でお話をしますので、かなり時間がかかります」
「は、はい……」
恐怖を感じる笑みで威圧して、部屋を出ていくのだった。
残されたオオガミ達は、明日向かうことになるであろう宝物庫に備え、今日はもう寝ることにしたのだった。
四コン同時操作という鬼畜の所業。ちょっとリアルでやってる人は見たことないですね……
あ、ガンスは私、専門外なので、使い方おかしいとかありましたら、突っ込んでくださいな。
いやまぁ、なんでゲームやってんだよ的なのは自分で思ってるんですが。明日からは宝物庫に逃げ込もう……(白目