「ん~……どういうの作るか……」
「そうねぇ……とりあえず、ベッドよねぇ……というか、これすっごいやりづらいのだけど」
二人で一つのコントローラを操作するというある種の縛りプレイ。
戦闘はほとんどないゲームとはいえ、難しいことに代わりはない。
今も、羊を追いかけるのに一苦労だった。
「……何奇っ怪なプレイしてるの……?」
「「二人一役プレイ」」
「……茶々、見なかったことにしよ」
思わず茶々は見なかったことにして、二人とは違うゲームをやっていた。
モンスターをハントするゲームも、もう夏イベントが始まっていた。
「むぅ……今回の追加、あんまり可愛くないんだけど。思わず伯母上を本能寺したくなるレベル」
「本気で殺しにいってるじゃない……っていうか、どれだけ悲しんでるのよ……」
「気軽に燃やされる本能寺よ……あ、木材確保しないと」
「あんまり高いと届かないから出来れば低い木がいいわ」
「……隣の二人を燃やした方が良い気がしてきた」
オオガミのあぐらの上に座っているエウリュアレ。
夏場で良くできると思いながら、とりあえずこの二人のところだけをあげてやろうかと企む茶々。
ゲームも、別段違和感無く操作できている辺り、連携が取れているというか、流石は絆10と言うべきか。
「今更だけど、マスター遊んでて大丈夫なの? 宝物庫行かないといけないんじゃなかったっけ?」
「のんびりで大丈夫だから問題なし。むしろ、今やるとマシュが怒る」
「整理してる最中に物を増やされるんだもの。手が足りてないのに増やしたら、倒れるわよ」
「そこまで分かってて手伝わない精神凄いと思う」
「「仕事が増えるって言われた」」
「戦力外通告受けてたか~……」
余計なことをしないのが仕事になっていた。
よって、二人とも暇になった結果、今ここでゲームをして時間を潰しているのだった。
「よし、剣が出来たし、お肉を狩りにいこう」
「もうそろそろ夜になるのに? 寝てから行きたいのだけど」
「むむ。それは確かに……よし、じゃあ、とりあえず朝にしてから出陣しよう」
「操作難易度上がってる状況で普通にモンスターが湧く夜に出歩こうとするマスター驚きだよ。難易度設定一体いくつなの……?」
「ハード一択」
「それ以外にするわけないわ」
「うわぉ、無謀過ぎるよこの二人! どう考えてもアホの行動だよ!」
ただでさえもやりにくい状況で、更に難易度を難しくしていく二人。
オオガミとしては、簡単なのをやるつもりはなく、エウリュアレとしては、移動操作が自分なので、モンスターから逃げるか突撃していくかを決められるからだ。
敵の強さをあまり気にしないオオガミと、オオガミを苦しませたいエウリュアレが合わさった結果のハード、ということだ。
「う、うぅ~ん……マスターがアホなのも、エウリュアレがなんかすっごい悪いこと考えてるのも分かった。よし、茶々は何も聞かなかったことにするね」
「そうね、そうした方が良いわ」
「え、変なこと言ったっけ……?」
茶々の言っているのが分かっているエウリュアレと、全く分かってないオオガミ。
そんな二人に、茶々は苦笑いになるのだった。
二人で一つのコントローラを操作するのって、絶対難易度高いと思うんですよ……良くできるな、あの二人。