「お、終わった……良く勝てたよ、あの牛に……」
「足だけであんなに強いのに、全身が出てきたら本当に手が付けられなくなるわ……」
「昔、どうやって勝ったんだっけ……私、全く覚えてないのだけど……」
もはや遠い記憶の彼方にあるグガランナ戦。
その時の事は思い出せないので、仕方なく今回は自力で何とかした。とはいえ、去年は令呪を三画使った気もした。
だが、今回は一画だけで何とかなったので、おそらくはマシになったのだろう。
「まぁ、なんにせよ、勝てたから問題ないね」
「そうね。でも、令呪を使うんじゃ、まだまだってことよね」
「むぅ……私があんまり活躍できなかったのが悔しいわ……」
アビゲイルは頬を膨らませてそう言うが、エウリュアレもアビゲイルも一回しか戦いに参加していないので、二人とも威厳的なものは少なかった。ほとんど参戦していたアナがおそらく一番だろう。
次点でエルキドゥ。幻影ですらあそこまで活躍できるのだから、帰ってきたら勝てる気がしない。
「とりあえず、私はアナさんに聖杯を使うのが一番だと、私は思ったわ。後五つよ……レベル100にしてても問題ないわ。むしろするべきよ」
「スッゴい癪なのだけど……メドゥーサは確かに強いのよね……」
「うぅむ……でもなぁ……聖杯が無いしなぁ……」
「うぐぐ……私に使った分で全部だったのね……!」
「まぁ、仕方ないわ。確か今は八個。つまり、後二個あればメドゥーサをレベル100に出来るわ」
「んん……? なんでエウリュアレが把握してるの……?」
「マシュに教えてもらっただけよ。聞いたら普通に教えてくれたわ」
「わぉ……でもまぁ、マシュが教えたのなら問題ないよね。うんうん。つまりマシュの殺意メーターは上がらないと言うわけだ」
「そうね。マシュさんも流石に怒らないと思うわ」
「そこまで理不尽な訳でもないでしょ? そもそも貴方が何かをやらかさない限り怒らないじゃない」
「いや……最近はストレス発散のために八つ当たりされてるときがあったりする……」
「……まぁ、日頃の行いね」
もう救いようがないと気付いたエウリュアレ。
オオガミもエウリュアレの考えに気付いたようで、苦い顔になっていた。
「日頃の行いって言っても、私、そこまででもないと思うのだけど。なんでそんなに言われてるのかしら」
「カルデアの時が一番酷かったわよ。大体ノッブとBBと一緒に何か企んでるし。それで騒ぎを起こして全力で止めに行くのと、むしろ悪のりしてマスター側につくのとで別れてたし。まぁ、大体みんなエルキドゥに倒されてたけど」
「……エルキドゥさん、本当に怖いわ……」
単に相性の問題のような気もするが、強かったことに変わりはないので、否定できない二人。
そんな二人を見て、アビゲイルはより一層、まだ話したこともないエルキドゥに恐怖するのだった。
今更ながら、去年のなんだからその時期に書いてたのを見直せば分かったんじゃないかと思う私です。手遅れじゃん。
流石に二度目はやりたくないですし、真相は闇の中と言うことで……