「茶々……暴れすぎちゃダメって言ったでしょ?」
「うぅ……エウリュアレが常識人っぽいこと言ってる……」
「……アナ。ちょっと宝具打ってスタンさせて」
「うっかり倒してしまうと思うんですが」
「それでも良いわ」
「おっと。茶々の命の危険を感じる」
下手なことを言ったせいで、一瞬にして命の危機に瀕する茶々。
完全に自業自得で、茶々自身も認めてるとはいえ、わざわざ自分から殺されに行くような精神はしていない。
故に、当然逃げる。
「うわははは! 逃げることなら伯母上にも負けないし! だってほら、怒られるの嫌だしね!」
「……アナ」
「分かりました」
エウリュアレの言葉と同時に茶々を追いかけるアナ。
茶々の抵抗虚しく、瞬時に鎖で拘束される。
「うぅ……まさか、全力で追ってくるとか思わなかった……目の前に鎌が刺さったときは、死んだと思った……」
「そんな下手な投げ方はしませんよ……ちゃんと当てたいところに当てます。9割は」
「1割の不安! それが当たってたら、もれなく茶々は座に帰ってたよ!?」
「別に、当てないだけならなんとかなります。ただ、スレスレを狙うとちょっと怪しいくらいで」
「じゃあ狙われてたんだね!? 茶々、スレスレを狙われてたんだね!?」
「……ちょっとだけです。気にしないでください」
「致命傷だよ!? もうやだ安置は無いの!?」
こめかみ付近を通り過ぎて目の前に刺さった鎌に頬を引きつらせて硬直した瞬間に捕らえられたのは嫌な思い出だ。
また、さりげなくうっかり殺されかけてたという衝撃的な事実に震える茶々。
「暴れなければそれほど危険なところはないと思うのだけど」
「じゃあ茶々は八方塞がりなわけだ。やっぱスタッフルームに突撃するしかないね」
「……ねぇ、本当に突撃したの? スタッフルーム」
「んぇ? 当然じゃん。むしろ、茶々が突撃しないとでも?」
「普通しないわよ……いえ、私も人のこと言えないのかしら……」
「そうですね……マスターのところに突撃するのは良く見ます」
アナの一言に、頭を抱えるエウリュアレ。
茶々もアナの言葉に同意するように頷いていた。
「むぐぐ……私、そんなに一緒にいるかしら……」
「まぁ、最近はあんまり見ないけどね。でも、カルデアではめっちゃ見た」
「えぇ……そこまでじゃないと思うのだけど……」
「私が姉様を探すときには、真っ先にマスターを探すくらいには一緒にいますよ?」
「……そんなに……?」
エウリュアレは全く自覚がなく、ただ首をかしげるのだった。
いつの間にかエウリュアレが常識人ポジに座ってる不思議。いつからこうなってたんだろう……