ふはは! 乗っ取ってやったわ!(やりすぎは……ね?)
『さてさて、ゴール直前から橋の下へと落とされた6チーム! そこから最速脱出し、最初にゴールするのは誰か!! ここからの実況は、俺ことアンリマユと!』
『解説の茶々だよ! とりあえず叔母上死すべし慈悲はない!』
めちゃくちゃノリノリの二人。イシュタルのマイクを強奪して実況を始め、マイクを強奪されたイシュタルは何故かアナに拘束されていた。
『いやぁ~……地上戦は中々の接戦でしたが、地下脱出戦はどうなることか。茶々さん、どう予想する?』
『そうだね。地上でさりげなく一位を一回取った叔母上は爆発四散すれば良いと思うよ! もしくは地下労働懲役1050年!』
『DEAD OR WORKってことだななにそれ恐ろしいんだけど。誰だこいつをここに置いたの』
既に実況さんの心労が尋常じゃない。
隣の茶々は元気一杯、ノッブへの殺意全開でお送りいたしております。
『真面目に不利そうなのはフランちゃんの所かな。だってほら、おじさん二人だし。特にあの白いおひげの方、腰が弱そうだし。ツルハシ振ってギックリ腰で即退場だよ』
『なるほどなるほど。ちなみに、有利そうなのは?』
『ライオンがいるところ! 電動掘削ドリル来るよねこれ! 手回しでも良いけど、天元突破する勢いで掘ってほしいな! そのドリルで天を突けっ!』
『電動掘削ドリルなんか持ってないし、手回しもないと思うんだけど!? だがまぁ気持ちは分かる! ぜひともマスターには調達を頑張ってもらわないとな!!』
それはペンダントっぽいドリルを作れということなのかと悩むオオガミ。
とはいえ、ノッブもBBもいないので、設計は出来たとしても製作が出来ないのが現状である。
『まぁ、マスターが苦労するのは全く気にしないので、アビーと一緒に世界旅行してきてね! マシュもつけるよ!』
『ハハハハハ! まさかマスターを投げ捨てるって発想はなかったわ! 魔力補給とかどうするんだし!』
『シャドウ・ボーダー頼りだよね! もしくは素材を片っ端から魔力に変換しないとだね!』
『マスターが泣くなそれ! いいね、それで行こう!』
実況席に突撃しようとしているオオガミ。マシュとジーク、アルトリアリリィが必死で止めるが、若干引きずられている。
しかし、流石に二人は暴れすぎた。当然、オオガミ以外にも動く者はいた。
例えば――――
「ねぇ、茶々さん。それ以上は、分かってるわよね?」
『ひぃっ……!』
『あ、俺は退散させてもらうわ』
「なんて、言わせると思ったのかしら? ほら、私のマイク、返してもらうわよ!」
触手で絡め取り、茶々を拘束するアビゲイルと、青筋立てて頬を引きつらせつつアンリを捕縛するイシュタル。
二人は逃げることなどできるわけもなく、オオガミの前に投げ捨てられる。
「ナイス二人とも」
「私はマイクを奪い返す次いでだから気にしないで」
「茶々さんが変なことを言うから、ついお店を放置して来ちゃったわ。じゃあ、私はこれで」
そう言って、それぞれ元の場所へ戻っていく。
そして、改めてアンリと茶々を見たオオガミは、
「じゃあ、お仕置きの時間だよ。覚悟は良いね?」
「あ~……茶々の冒険はここで終わってしまった……的な……?」
「いやぁ……今回はふざけすぎたわ……うん、まぁ、仕方の無いことだな。じゃ、俺は逃げ――――」
「ガンド」
「ガフッ!」
逃げようとした瞬間にガンドで拘束されるアンリ。
そして、そのまま茶々と一緒にスタッフルームへと引きずられていくのだった。
この実況乗っ取りスタイルを数話にかけてやろうとして、話題が続かなかった……アンリのキャラ崩壊が一番だった気がする……