「周回終わり! 終了! もう頑張らない!!」
「ところがどっこい。高難易度終わってないんだな」
「うがー! 茶々の出番じゃないんだよそれは!」
帝都で最後の周回を終え、発狂する茶々。
八つ当たり気味にオオガミを投げるが、アビゲイルが触手で受け止めてくれて大惨事は免れた。
「うぐぅ……いや、茶々の出番ではないのは分かるけど、敵はノッブだよ?」
「マスターなんでそれを先に言わないの! すぐ行くよ!」
「切り替え速度が流石すぎる……」
ボスの正体を知った瞬間にやる気を出す茶々に、オオガミは苦笑いになる。
「まぁ、良いんじゃないかしら。頑張ってきなさいな。女性相手なら私の出番はないだろうし」
「バーサーカーかしら。ねぇ、バーサーカーかしら!」
「いやそれは分からないけども。でもとりあえず、アーチャーではあるよね」
「とりあえず私の出番かしら! 吹き飛ばしちゃうわ!」
「残念だけど、ノッブは神性特効持ってるから、場合によっては一発アウトの可能性あるんだけど」
「えっ……ノッブさんって、そんなに危険なの……?」
「えぇ。神性持ちは一発退場のリスクが常に付きまとうわ。だから、二重の意味で私はダメね」
「むぅぅ……難しいのね。残念だけど、今回は辞退するわ」
「……まぁ、私は普通に編成に組まれるんですよね」
遠い目をするアナ。
当然、敵が暫定アーチャーなのだから、貴重な単体宝具ランサーは入れられるのだ。
神性持ちじゃないランサー入れろよ。と思うかもしれないが、そもそも神性持ちじゃない単体ランサーがレア過ぎた。
「神性なのに戦うのね……と、とにかく、一回行ってみないと分からないわ。もしかしたらバーサーカーもあるかもしれないし」
「まぁ、その時はその時ね。マスター、頑張りなさいな」
「はいはい。行ってきますよ~っと」
そう言って、高難易度へ向かうオオガミ達。
エウリュアレは小さく手を振って見送ると、
「さて、今のうちに、紅茶には一杯デザートを作ってもらおうかしら」
「あぁ、なんだ。私は休めると思ったのだが、そうでもないみたいだな」
「えぇ。だってほら、東洋には、鬼の居ぬ間にってことわざがあるらしいし。マスターがいない間に、普段はあまりやらないことでもやろうかと思って」
「いくらスキルで体型が変わらないとはいえ、あまり食べ過ぎるのもどうかと思うがな」
「じゃあ、作ってくれないのかしら」
「いや、禁止されているわけでもないから、普通に作るとも。要望はあるか?」
「シェフのオススメで。期待しているわ」
エウリュアレはそう言って微笑み、エミヤの料理を待つのだった。
高難易度だけまだ終わっていないんですよねぇ……早くやらないと……