「カレーの時間だおらー!」
茶々の正面に置かれるカレー。
茶々は目を輝かせるが、瞬時にオオガミを睨む。
「野菜一杯なんだけど!! お肉は!?」
「ふふん。茶々だけ野菜盛りにしてやりました」
「よぅしマスター喧嘩売ってるんだね!! 茶々のパワー見せてやるぅ!!」
お怒りの茶々。だがしかし、遠距離系の総攻撃を避け切る様なマスターに近接攻撃が届くわけも無く、平然と回避される。
それを見ていたエウリュアレは、
「マスター、茶々をおちょくらないの。それは私の特権よ」
「もっと言ってやってよエウ……あれ? 今、なんかおかしかった気がするんだけど」
「気のせいよ、気のせい」
「えぇ。茶々さんで遊ぶのはエウリュアレさんと私の特権だもの」
「んん~……?」
「今は、という意味です。はい。皆が帰ってきたら増えると思いますが」
「うん……? ねぇ、やっぱなんかおかしくない?」
「気のせいよ気のせい。ほら、とりあえずマスターを倒すのに集中しなさい。わりと当たらないから」
「……今更なんだけど、マスターって人間だよね……?」
「人間だよ! 一般的且つ常識的な人間だよ!!」
「え?」
「え?」
「マスター、そんな冗談を言う必要は無いですよ?」
「あれ、冗談だと思われてる!?」
想定外だとばかりに衝撃を受けるオオガミ。
しかし、そんな事をしている間にも、茶々の襲撃は止まない。
わりと目が本気なので、余程野菜カレーがお気に召さないようだった。
そんな様子を、遠くからエウリュアレ達はカレーを食べつつ見守る。
「見ていて思ったのだけど、普通にお肉いっぱいのカレーを出せばいいんじゃないかしら」
「それを言っちゃだめよ。それをすると面白くないじゃない」
「……アビーって、たまにとんでもない事言うわよね」
「姉様もあんまり人の事を言えな――――いえ、何でもないです」
アナが言いかけるも、エウリュアレの視線が向いた瞬間に目を逸らす。
エウリュアレは不穏な笑みを浮かべるが、特に何もしないで食べ進める。
アナはそこはかとない嫌な予感を感じるが、早く食べないと別の人が怒りそうなので、早めに食べる。
「でも、よくマスターは避けられるわよね。あの炎、躱せるとは思わないんだけど」
「えぇ。更に言うと、ノッブの三段撃ちも躱せるようなものじゃないわ。緊急回避って、あそこまでえげつないのね」
「私の触手を躱すときも使っていたような……?」
「あの緊急回避、ちゃんとピンポイントで使ってくるから面倒なのよね……たまに素で回避してるし」
「……何と言いますか、この会話、マスター対策案みたいですね……」
エウリュアレとアビゲイルの会話を聞いていたアナは、ふと、そう呟くのだった。
礼装を使いこなしているマスター。しかも一部サーヴァント直伝の技も持っているという面倒さ。このマスター、当然の如く人間辞めてるんやで……(今更