「ふふん。やっぱり茶々の前では無力! 大剣パワーで潰れろぅ!」
「私の盾は、今のところは破られてません! ガード、ガードです!」
「属性バーストッ! 爆発カッコイー!」
「荒ぶってるなぁ……というか、コイツそこまで強くないから、もはや雑魚扱いだよね……」
「大きいから多段ヒットするし、私的にはお得でしかないわ。だからほら、早く倒しなさいよ」
ようやく到達したラスボス。しかし、茶々とオオガミからすると、もはや舐めプ対象だった。
「いやぁ……久し振りに戦うからなぁ……」
「正面に立って一矢よ。ほら、不動で早く早く」
「自殺行為じゃん……ビームで消し飛ぶよ?」
「大丈夫大丈夫。マスターなら運良くスレスレをビームが通り抜けるわよ」
「んな適当な……って、本当にスレスレじゃねぇか」
「茶々ビックリ。本当にスレスレ通るとか、あり得なくない? 茶々、絶対当たったと思ったんだけど」
「流石ねマスター。私もそんな事してみたいわ」
「私はスタミナが続くまで防御ですね……わりと攻撃が届きませんし…難しいです……」
危なっかしい事この上ないスレスレビームに冷や汗を流しつつ、最大溜めの一矢を叩き込むオオガミ。連続ダメージが気持ちいいほどに入るが、それ以上に隣の高火力ビームが恐ろしい。
「というか、なんでエウリュアレじゃないのか。プレイヤーはエウリュアレでも良かったと思うの。弓だし」
「嫌よ、HP高いんだもの。こういうのはマスターに任せるに限るわ」
「要するに、面倒な敵は任せるってことね。まぁ良いけどさ……」
「マスターは甘いよね。殿下並みじゃない?」
「羨ましいわ。私もマスターに甘やかされたいのに」
「アビーさん、実は先輩、押しに弱いんですよ。大体ゴリ押せば行けます」
「おっと。信頼してる可愛い後輩ちゃんから酷い言われようだ。そして否定できないのが悲しいね」
敵の攻撃を的確にかわして反撃していく茶々とオオガミ。それとは逆に、ダメージ覚悟で突撃していくアビゲイルと、ガードしつつタイミングを見て攻撃するマシュ。
オオガミの甘いところを話しつつも、しっかりと操作している四人に、見ているエウリュアレは楽しそうだった。
「否定できないんだ。茶々的には否定すると思ってたんだけど」
「私をあれだけ甘やかしていたもの。しかも、私はマシュが言ったようなお願いだけで聞いてもらってたしね」
「むむむ……私も今度やってみようかしら」
「うぅむ。なんか、自分の攻略法を身近な人がばらしていくから、弱点が周知されていく不思議……」
「不思議でもなんでもないよね。マスターが自分から見せてるし」
「う~ん……悩ましいものだよ全く……あ、終わった」
「「「お疲れ様(です)~」」」
ちょうど倒し終わり、一息吐く四人。
喋りながらは不安だったが、案外いけるものだと思うのだった。
実際、押されるとめっちゃ弱いオオガミ君です。甘いからね。仕方ないね。是非もなしだね。