宿屋に戻り、先ほど買った櫛でエウリュアレの髪を梳かした後、
最初は簡単にできるだろうと楽観的に考えていたが、しばらくやって、想像以上に難しい事に気付く。
「あ~……初心者用じゃないっぽい。帰ってからゆっくりやろうか」
「そう。まぁ、貴方が無理ならダメね。しばらくは止めておきましょうか」
「うぅむ、鈴鹿か玉藻に習っておくべきだったか……」
「まぁ、また今度ね、その時はまたお願いするわ」
「うん。髪型は何時ものに戻しておくね」
再度髪を梳かし直し、何時ものツインテールに戻す。
帰ったら茶々に教えてもらおうかと思いつつ、根本的に茶々が出来るのかと言う不安があったりなかったりしていた。
「はぁ……せっかくいい感じの簪があったから、エウリュアレに着けてもらおうと思ったんだけどなぁ……」
「私も残念だったわ。でもまぁ、時間はあるし、もうちょっとゆっくりでも大丈夫よ」
「ぐぬぬ……簪が出来なかったし、仕方ないからエウリュアレ用の着物も買っておくか……」
何か決意を固めたようなオオガミ。
そんなオオガミを見て、エウリュアレは短くため息を吐いた後、
「さて。いい加減、現実を見ましょうか」
エウリュアレの声に、ビクリと反応するオオガミ。
大いに心当たりがあるので、エウリュアレの方を見るのも躊躇うレベルだった。
「残り期限は一日を切ったわ。現状はどうかしら?」
「……砂金が残り半分、小判が手付かず。新撰組ポイントが4割残ってる」
「そう……じゃあ、私が何を言いたいのかも分かるわよね?」
「あっと、えっと……荷物置いてから周回に行こうか」
「素直なのは良いことね。早く支度しなさい」
「了解ですっ!!」
半泣きで走り出すオオガミ。態度が先ほどとは違かったので、流石に焦っていた。
エウリュアレはそれを見送った後、窓の外のある一点を見つつ、
「二人とも。ちゃんとマスターを見守ってなさいよ?」
そう言うと、すぐに荷物を整え始めるエウリュアレ。帰る準備は万端だった。
* * *
「待って待って……普通にバレていたのだけど……!!」
「だから茶々言ったじゃん……バレてるって……」
「まさか位置までバレてるなんて思わないじゃない……!!」
視線が合ってしまった気がしたアビゲイル。
口の動きから察するに、オオガミを守れ的なモノだろうと想像するアビゲイル。
「むぅ……見つけられてたのなら仕方ないわ。ちゃんとマスターを守りに行くわよ」
「うへぇ……茶々、ちょっと休みたいんだけどぉ……」
「レッツゴー!!」
「ダメだ茶々の言う事聞いてないよ。伯母上並みだよ」
門を潜っていくアビゲイルを見送ろうとした茶々だったが、触手に捕まって門へ投げ込まれてしまうのだった。
簪って、なんか難しそうですよね(小並感
というか、本格的にこれ、イベント終わるかな……が、頑張るしかない、か……(コフッ