「ふぅ……やっぱり和菓子には緑茶だよね」
「私にはちょっと苦いわ」
「むぅ……叔母上のお茶の方が美味しくない?」
「質が違うと思うのだけど」
和菓子を食べに来て、何故かお茶の方が話題に上がるという謎。やはり美味しい茶菓子には美味しいお茶を求めるものなのだろうか。
「まぁ、お茶はともかく、和菓子は美味しいわ。見た目良し、味良しで言うことは無いわ」
「マスター。マスターは和菓子作れる?」
「それはエミヤに習ってないなぁ……でもまぁ、頑張ればそのうち?」
「出来ないって言わないところが、茶々はすごいと思う。というか、もうマスター一人で良いんじゃないかな?」
「ダメよ。マスター一人だと、精神攻撃で一発退場よ。せめて精神耐性は上げておかないと無理だわ」
「待って。肉体面は? 根本的にそこが足りないと思うんだけど?」
「自分のやって来たことを振り返ってから言いなさい。精神面をどうにかしたら、筋力と耐久スペック的にはアンリに近付くと思うわよ?」
「Eって事だね、分かるとも!」
半泣きのオオガミ。とはいえ、Eでも人間としてはかなり高いのだが、そこに突っ込む者は誰もいなかった。
「それで、エウリュアレは何がお望みで? さっきからチラチラと店の中を見てるけど」
「べ、別に見てないわよ。ただ、宇治金時っていうのが気になるなぁって思って」
「別に気にしなくて良いじゃん? だってほら、茶々が一周すれば終わるし! 敵は大体、茶々の業火で一発だし! お姉さん! 宇治金時4つ!」
「茶々……意外と強いのね……! 私も負けてられないわ! マスター、私も頑張るわ!」
「うん。アビーが頑張ってくれるのはわかった。でも、ちょっと待て茶々。なにさりげなく4つも頼んでるんだ?」
「え? まさかマスター、食べないの!? じゃあ茶々が貰っておくね! ありがとう!」
「あぁぁ!! やぶ蛇だった! 食べるから! 俺も食べるからぁ!」
下手に突っ込んだせいで茶々に宇治金時を奪われそうな危機に瀕しているオオガミと、勝ち誇って、宇治金時を奪うつもり全開な茶々。
それを見て、エウリュアレは微笑ましそうに、アビゲイルは楽しそうに笑ってみていた。
「全く。二人とも、はしゃぎすぎよ。そんなに騒ぐなら、私が貰うわね?」
「茶々悪くないし。叫んでるの、マスターだけだし。よって茶々無罪。宇治金時ゲット!」
「え、ズルくない? 同罪でしょ? え、俺だけ悪いの?」
「誰も貴方が悪いとは言ってないのだけど、そう思っているのなら、きっと悪いのよね。じゃあ、宇治金時は貰っておくわ」
「え、エウリュアレが酷い……!!」
半泣きのオオガミと、エウリュアレに言われると同時に背筋を伸ばして無罪アピールする茶々。
そして、実際に宇治金時来たときも、わいわいと騒ぎながら食べるのだった。
最近、イベントとかその他諸々を放り出して日常書いてる不思議……しかし、そろそろお菓子ネタが尽きそう……