もぐもぐとパンケーキを食べているアビゲイル。
本日のおやつは、つまりそう言う事である。
「ねぇマスター? ジークさんをシャドウ・ボーダーに送って、本当によかったの?」
「ん? そりゃ、後こっちでやることは少ないし。向こうでマシュの手伝いをしてもらってた方が良いかなって」
「ふぅん? まぁ、マシュの方が私たちより大変だしね。マスターが雑に素材を送り込むから、いつもマシュが大変なのだけど」
「なんでエウリュアレがマシュの仕事を知っているのか……」
「たまに手伝わされてるから……」
「女神すら使うマシュさんマジパネェ」
マシュの行動が最近文字通り神をも恐れぬ行動を平然としているので、不安なオオガミ。そのうち殺されそうなのだが、たぶん大丈夫だろう。きっと反逆しに来た神々すら手のひらで弄びそうな勢いなのだから。
「マシュさん、最近凄い怖い感じがするのだけど……なんというか、有無を言わせない凄みがあるというか……」
「あの目で見られると、精神を揺さぶられるというか……拒否できないのよね……」
「マシュ……いつの間にか凄い子になって……いや、うん。もうちょっと手に負えないですね」
「貴方の後輩でしょう? 何とかしなさい」
「マシュさんを止めてくれないとそのうち重労働の未来が……あれ、今もあまり変わらないような……?」
「こっちの方が気が楽だけどね……敵を倒していればいいだけだし」
「マシュさんの方は、物を整理したり、記録したりだものね……あれはちょっと、精神的に疲れちゃうわ」
「なんだろう、そろそろマシュが怖くなってきたんだけど、どうやって休ませよう……」
「貴方が全力でマシュの仕事を奪う勢いで全部やればいいと思うけど」
「……一人でできる気がしないから、手伝ってね!」
「最初の一日だけ手伝ってあげるわ」
「触手は貸してあげるわ!」
「うん。あんまり協力的じゃないことだけは分かった」
少し寂しいオオガミ。それだけでどれだけ面倒な仕事なのかが分かるので、自分が何をやっているのかが何となくわかって来た。
「というか、触手を貸し出してもらっても、どうやって動かせと……?」
「気合で何とかなるわ!!」
「交信しろって事かな……?」
努力でどうにかなるようなものなのだろうか。と疑問に思うが、アビゲイルのドヤ顔を見て、何とかならなかったらお菓子で釣ろう。と思うのだった。
「まぁ、とりあえず、今はこっちだね。明日謎解きイベントがあるとか知らない」
「あぁ……推理、苦手なのよね。分かってるわ」
「頑張っていきましょうね、マスター」
現実から目を逸らそうとするオオガミに、笑顔でそう言うエウリュアレとアビゲイル。
どうやらイベントには強制参加らしい。オオガミの平穏は訪れそうになかった。
神すら従わせるマシュの目力……