「あ~……なんか、凄い疲れてるんだけど……」
「なによ。私の膝枕は寝苦しいっていうの?」
「いや、そんなことはないけども……むしろ、寝心地良いけども。でもほら、それはそれだと思う。疲れが取れるかどうかは別的な?」
「そう……仕方無いわね。嘘を言ってないみたいだし、許してあげるわ。ふふっ。私も優しくなったものね」
昨日に引き続き、機嫌の良いエウリュアレ。
オオガミはそれに釣られて笑顔になるが、なんとなく嫌な予感がしてきた。
「ん~……エウリュアレと話すのはかなり久しぶりで嬉しいのはあるんだけど、マシュとアビゲイルは……?」
「知らないわ。私はマスターの膝枕をしていただけだもの」
「そ、そう……? いや、起きてから見てないなぁって思って……それに、APも減ってるし……」
「気にしなくて良いわ。えぇ、気にしなくて良いのよ。ふふふふふ……」
先ほどと同じような笑顔なのにも関わらず、先ほどより凄みを感じるエウリュアレの笑顔。
ただ、オオガミは、絶対何かやらかしていると確信する。なんとなく、昔と性格が若干違う気がするのだが、不思議だ。
「まぁ、うん。マシュとアビーがいないのはたぶんエウリュアレのせいだと思うんだけどさ……」
「あら、酷いわ。なんで私がそんなことをしないといけないのかしら?」
「いや、理由は知らないけど、なんとなくやりかねないなって思って……」
「全く……私が意味もなくやるわけないでしょう?」
「うん。つまり、やる意味はあったんでしょ?」
「言うじゃない……ふふふ。じゃあ、何なんで分かるかしら?」
「むむむ……」
考え始めるオオガミ。
エウリュアレは不敵に笑う。なんせ、オオガミが当てられるとは思っていないからだ。
「そう……だなぁ……むむむ。追い出したい理由が……あ。膝枕をしてくれてたからとか?」
「まぁ、ほんの少しはあるかもしれないわね。あぁ、本当に面白いわ。だって、帰ってきたら知らない子がいるんですもの。それも、ちょっかいかけたら面白そうな子が。じゃあ、遊ばない手はないじゃない?」
「あ、あぁ~……そういう……どうりで生き生きしてるわけだ」
「えぇ。おかげでとっても楽しいわ。ありがとうマスター。あんな面白い子を召喚してくれて」
「本人が聞いたら激怒しそうだよねぇ……」
満面の笑みを浮かべるエウリュアレに、苦笑いしか出来ないオオガミ。
きっと本人が聞いたら、エウリュアレに飛び掛かってるのではないかと思うほどなのだが、謀ったかのように本人はいないのだった。
エウリュアレが黒くなって帰ってくるという……あれ、前からこんなだったっけ……? いや、そんなことはないはず……