「なんでマスターはまたベッドに倒れているのかしら……」
「さぁ……? 私にもさっぱりです」
「テンションを無理矢理上げて頑張ってたけど、私が来たから緊張が切れて倒れたと見たわ」
ドヤ顔で言うエウリュアレに、まさかそんなわけ無いだろう。と言いたそうな表情返すマシュとアビゲイル。
「まぁ、別に言ってみただけよ。あまり本気にしないでほしいわ」
「あそこまで完璧なドヤ顔を見せられたら、本気で思ってたとしか思えないのだけど……」
「更に言えば、わりとあり得そうだというのが問題なんですよ……」
「えぇ……なによ、本当に疲れてたの……? 確かに、私が召喚されたのを見た瞬間に倒れたけども……」
「-100度ですからね……極地用礼装を装備していたとしても、精神的な疲労はどうしようもないですし。エウリュアレさんを召喚しようとしたのだって、たぶんそういうのもあるんですよ。出来るだけカルデアと同じ状態にしたい的なものが」
「ふぅん……まぁ、頑張りは評価してあげるわ。しばらくは休んでいても良いようにしましょう。宝物庫くらい、私がなんとかするわ」
エウリュアレはそう言うと。さりげなくオオガミに膝枕をする。
その自然な様子にマシュとアビゲイルは一瞬硬直すると、
「な、なんて自然に膝枕を……!!」
「しまったわ、完全に油断していたっ! エウリュアレさんは、あんなでもマスターと一番親しいのだもの、ああいう事をする可能性を考えるべきだったわ……!!」
驚いているマシュと、悔しがるアビゲイル。
それを見てエウリュアレは、少し見ない間に面白いことになったな。と内心笑っていた。
これは、オオガミが起きたときが一番面白そうなのだが、きっと疲れているのは本当だと思い、叩き起こす事はしない。
「ふふふ。あぁ、楽しみだわ。マスターはどんな事をすれば表情を変えてくれるかしら。怒っても泣いても良いのだけれど、とりあえずは困らせてみたいわ」
「ま、マシュさん……何かしら、エウリュアレさんが凄く不穏な事を言っているのだけれど……」
「あ、安心してください、アビーさん。カルデアでも滅多に見れないんですが、あれは確か、機嫌が良いときのエウリュアレさんです。下手に刺激しなければ、先輩以外には被害はありません。それに、被害と言っても、精々落書きされているか、起きたときに無茶振りを言われるくらいです」
「十分過ぎると思うのだけど……!!」
確かに、今エウリュアレの機嫌は良いが、目の前でコソコソと話されて寛容なほど彼女が大人なわけもなく。
「マシュ。苦労を三倍にしてあげるわ。覚悟しなさい」
「そんなっ!?」
「アビー? いつ呼んだのかは知らないけど、あの変態を解き放たれたくないなら宝物庫に行ってらっしゃい。行けるわよね?」
「はうっ!? なんで私はやることが明確なのっ!?」
反撃を許さない無言の笑み。その威圧感は意外と凄まじく、数秒の沈黙の後、マシュは逃走し、アビゲイルは宝物庫に突撃するのだった。
帰ってきて若干のキャラ変化が起こっている女神様……アリですかね……?