「ふふ……ふふふ……ふふふふふ……!!」
「ど、どうしたんですか、アビーさん」
不気味に笑うアビゲイル。あまりにも不穏な笑い声に、聞いていたマシュは困惑する。
「ふふふっ。昨日マスターに抱き枕にされていたときに啓示がきたの。そう、ヒロイン力がエウリュアレさんに匹敵するって!!」
「え、えぇ~……エウリュアレさんに会ったことがないのに凄い自信……本人が聞いたら怒りそうですね……」
「むしろどんと来い、よっ! 私は逃げも隠れもしないわっ!」
「へぇ……そう。私に勝つって言うのね」
背後から聞こえる冷たい声。
ピシッと固まるアビゲイル。それほどまでにその声には感情が籠っていた。
それを見ていたマシュは、苦笑いになると、半泣きになっているアビゲイルに振り向くように促す。
そして、アビゲイルがゆっくりと振り向くと、そこには予想通り、美しいまでの笑みを浮かべた、殺意全開のエウリュアレがいた。
「えぇ、えぇ。私がいないうちにマスターを奪おうとするのは良い考えだったんじゃないかしら。でもね。残念だけど、私は貴女よりランクが低いから、ことカルデアにおいては何度でも召喚されやすいのよ?」
「……で、でも、私は諦めないわ。絶対貴女に勝って見せるもの!」
「残念だけど、それは無理だと思うわ」
「……どうしてかしら?」
わりと真剣に問うアビゲイル。
エウリュアレはそれに対し、苦い表情で、
「だって、マスターは未だに深海の白鳥に心を奪われたままだもの」
「深海の白鳥……?」
「あぁ、メルトリリスさんの事ですね」
「え、マシュさん! メルトリリスさんって、一体誰なの!?」
「去年のゴールデンウィーク中の事なんですけど、先輩とその時にいた私を除くサーヴァント以外誰も覚えてないんですよね……えぇ、私もぼんやりとしか分かりませんとも。ただ、BBさんを許さないというのは私の心が叫んでます」
「BB……一体何をしたのかしら……」
一体何があったのか分からないアビゲイル。マシュもよく分かっていないので、説明させると更に謎が深まるだけだ。主要人物は登録霊基を見ているのでなんとか分かるという程度だったりする。
「まぁ、そういうわけで、残念ながら、私も貴女もヒロイン枠には上がれないわ」
「そんな……!! 実質的ヒロインなのに……!!」
「……ここに先輩がいたら、きっと修羅場というものを見れたのでしょうね……」
若干昨日の状態がそれに近かったりしたのだが、自分が中心にいると、中々気付かないものだ。
「ぐぐぐ……仕方無いわ。じゃあ、今からマスターに突撃してくるわ!」
「そうね。行ってらっしゃい。……そもそも、私と彼女の場合、そもそも根本的な部分が違うと思うから、勝負になら無いと思うのよね……」
「まぁ、エウリュアレさんとアビーさんは、なんというか、属性が違いますもんね」
アビゲイルを見送った二人は、そう呟くのだった。
なお、数秒後に、エウリュアレを召喚するために失った代償で精神ダメージを受けていたオオガミが奇襲されて悲鳴を上げたりしたのだが、その声を聞いて、エウリュアレは楽しそうに笑うのだった。
いやぁ……まさか貯めてあったフレポが全部無くなるとは思いませんでしたよね~。はっはっは~。おぅ。おかげで石もなくなっちゃったぜチクショウ。さりげなくデオンが宝具4になったよ出番作れないのに。