「やっほーマスター。再召喚だよ~……って、どういう状況?」
さりげなく総計四度目の召喚をされた鈴鹿御前。内訳は退去前三回、そして今回だ。
そんな鈴鹿の前には、昨日と同じく巻かれたまま頭だけ出した状態のオオガミがリリィに引きずられていた。
ちなみに、足の方を縄で縛られているため、引きずられると頭を地面に擦るようになっている。発案者はアンリだったりする。
「み、見ての通り、修行の手伝いだとも」
「どう見てもマスターがいじめられているようにしか見えないんですけど……?」
「9割正解」
「ほとんど全部じゃん。何があったの?」
「実はかくかくしかじかで……」
「ふむふむ……なるほどそういうことね。って分からないし!」
通用しなかった。流石に無言の意思疏通はまだ出来ないようだった。
気を取り直して、聞き直した鈴鹿。それに対してオオガミは今度こそ普通に答えた。
それを聞いた鈴鹿は、
「あぁ、なるほど。それはマスターの自業自得じゃん? それでこうなるのも納得なんだけど……でも、流石にちょっと厳しすぎる気がしないでもないね」
「うん。マシュが考えていたときのは全部生き残れたんだけど、アンリの案はちょっと死にそうだからちょっとお仕置きしてくれるとありがたい」
「りょーかい。じゃ、行ってくるね~」
「うん。任せた~」
そう言って立ち去る鈴鹿。
ただ、一つ忘れてはいけない事がある。それは、今も進行形でオオガミが引きずられているということ。
鈴鹿もそこについては触れなかったので、誰かが解いてくれるまでそのままということだ。
「……ついでにリリィを止めてもらって、縄を解いてもらえば良かったかな?」
そう呟くも、一応修行の一環ということでこの状態になっているので、自分で止める勇気は無いのだった。
* * *
「いやぁ、四度目のダブりとはお疲れ様だな」
「別に気にしてないけど? で、何やってるの?」
「次の修行の道具だな」
ドヤ顔で言うアンリに、苦笑いの鈴鹿。
何かの作業をしているようだった。
「あんまりやり過ぎないでよ?」
「手加減してるっての。つか、殺せる気がしないんだけど?」
「まぁ、分からなくもないけども……とにかく、やりすぎは禁止。マシュにも言ってくるからね」
「あいよ~」
そう言うと、鈴鹿はマシュを探しに行ってしまう。
残されたアンリは、作業を続けつつ、
「つか、オレは提案しただけで、実行はマシュなんだけどな……?」
黒幕はマシュ。もはやこのカルデアおいて常識と化してきているのだった。
鈴鹿さんがさりげなく宝具4……誰が最初に宝具5になるんでしょ……