「ハッハァ!! やってやったぜこのやろう!」
「えぇ、えぇ! 大勝利よ!」
「ほ、本当に勝てました……やれば出来るものなんですね……」
「まぁ、無理ゲーではなかったってのは分かった……即死最高」
まさか、一度休憩という事で寝てから再戦を挑み、一回目で勝てるなど、誰が想像できただろうか。
何にしても、これで自由に屋上にいれるわけだ。
「いや、流石だマスター。正直勝てるとか欠片も思ってなかったからな」
「いや……どちらかっていうと、式が即死を入れてくれたからじゃない?」
「そんなの、微々たるものだろ? オレはほとんど何もやってないよ」
そう語っているのは、今回の実質MVPである式。
肩をすくめて、やれやれとばかりに首を振る。
確かに、累計ダメージとしては違うが、根本的なものとして、式の即死が無ければ勝てなかった戦いである。
「それで? 屋上は解放された。このマンションは後は放置するだけで勝手に霊も散っていく。それでもなお、何かするか?」
「……当然。むしろ、ここからが本番だ」
依頼は終了した。交換も終わった。しかしそれでもなお、望むのは、
「だってほら、
要するに、金策だった。
何かといって、すぐに溶けて消えていくのだ。戦力増強など、どうしてそんなに吹き飛ぶんだよ。と突っ込みたいほどには。
「ぷっ。あっははは! あ~……いやいや、ここから先が本番だって言ったから、何かと思って身構えたら、金策か。いや、わかるぜ。何かと使うよな」
「そりゃね。無理無茶無謀はしたくないし、してるのも出来るだけ見たくないから、比較的有利に進められるように準備しておきたいじゃん?」
「あぁ、そうだな。まぁ頑張れ。オレも出来る範囲で手伝うぜ?」
「うん。よろしく」
オオガミが式にそういうと同時、右から抉り込むようにオオガミに抱き付く黒い影が。
オオガミは悲鳴や奇声を上げる暇すらなく、むしろ深刻すぎて黙る勢いで飛んでいく。
ある程度進んだところでピタリと止まった影は、
「ねぇマスター! 今度はどこへ行くのかしら! 私、今から楽しみで仕方ないわ!! 今度はどんな人が待ってるのかしら!!」
「ぐ……ゴフッ……あ、アビー……あの、わりと痛いので、次は加減をして……ください……」
「まぁ大変! マスターが倒れちゃったわ!! どうしましょう!!」
「自分でやっておいて、知らぬ存ぜぬは無理がありすぎだゴフッ!」
黒い影――――アビゲイルの衝突により倒れたオオガミに、さも自分は悪くないとばかりに振る舞うアビゲイルの姿を見たアンリが、目を逸らしながら突っ込んだ結果、アンリは突然現れた門から飛び出た触手を回避出来ずにみ鳩尾に一撃くらい沈んだ。
当然、オオガミの安否の方が重要なので、アンリは放置されるのだった。
朝起きて挑んだら一発勝ちして困惑した私です。おかしいな……一発で即死が刺さって、その後普通に勝てるとは……昨日全く勝てなかったのに……