「……冷静に考えるとさ、ミッションってこれで終わりじゃないんだよね……」
「って言っても、残り二つだろ? 案外サクッと終わるんじゃね?」
「ふ、不安だなぁ……」
入口で依頼書を眺めながら、そんなことを呟くオオガミとアンリ。
残るは開示されていない謎のミッション二つ。一体どんなミッションなのかと考えてしまうのはある意味自然な事と言えるだろう。
「しっかし、意外と時間かかったなぁ……サボってたせい?」
「言うほどサボってないでしょうが。意外と頑張ってたよ」
「まぁ、何気に最後の二つが開示される前に終わってるしな。まぁいいや。ここからどうするんだ?」
「ん~……素材交換、かな……?」
「また時間かかる奴~……まぁ、分かってたけども。よぅし、だるいからアビゲイルに任せよ~っと」
「……まぁ、アンリはそう言う奴だよね。知ってた」
颯爽とアビゲイルの元へと走っていくアンリ。
オオガミはアンリを見送りつつ、依頼書をしまう。
「終わるかなぁ……何気にアンリのせいで終わらなそうな雰囲気あるけど……」
「何が終わらないんですか?」
反射的に振り向くと、マシュがそこにいた。
本日の買い出しはマシュと式だったので、無事に帰って来たようだった。
実は入口で待っていたのは、マシュが心配だったからなどとは、口が裂けても言えないオオガミ。
「ま、マシュか……びっくりした。いや、さっきアンリが、さりげなくフラグ立てていってさ……まぁ、ミッションがクリアできなくなるとは思ってないけども。それで、何を買って来たの?」
「はい。今日は魚を。お刺身とか、焼き魚とかどうでしょう?」
「ん~……そうだね。じゃあ、晩御飯はそれで。って、式さん、どうしたの?」
いつの間にか奪われていた依頼書を眺めている式が、どこか驚いているような雰囲気を出していたので、聞いてみるオオガミ。
「ん? あぁいや、依頼が無くなったと思ってね。意外と仕事が早いんだな」
「……さっき、アンリに真逆の事を言われたような……まぁ、良いよね」
「ハハハッ。そうか、アイツはそんな事言ってたのか。随分仕事が早いと思われてるんだな、マスター?」
「そんな事考えてると思ってないけどねぇ~……」
先ほど、遅いと言われたような事を思い出しつつ、褒められたのだから忘れる事にするのが一番だろう。
依頼書を返してもらい、三人は部屋に戻る。
「そう言えば、アンリさんとアビーさんは?」
「先に部屋にいるよ。さっきまではアンリもいたけど、アビーに周回を押し付けようと意気揚々と走って行った」
「何してるんですかアンリさんは……」
「まぁ、誰が行くのか、決めるのはマスターだけどな? 編成、頼むよ」
「まぁ、任せといて」
そう言って、アビーの提案により、無駄に高い部屋に言ったため、無駄に長く階段を登るのだった。
ラスト二つの恐怖……