「都合のいい悪役はオレの専売特許だとして、都合のいい黒幕とか、都合のいい変態とか多いよな、ここ」
「黒髭さん、恐ろしかったわ……」
古今東西異世界過去未来問わず様々な英霊がやって来るのだ。都合のいい○○が増えるのも仕方の無いことだろう。
「……悪役と黒幕の違いが分からない……最終的に倒されるのに変わりはないはず……どう違うんだろう……」
「悪役は表で堂々と暴れて、且つネタバレにならない範囲で素性を隠さないで、黒幕は素性を隠して暗躍しつつ、最後に全部喋って倒される……とかでしょうか」
「マシュが全うに答えてくれたのは嬉しいんだけど、なんか黒幕の印象がすっごい悪くなってる……後、なんか弱そう」
「では、バビロニアでの三女神同盟が悪役として、ティアマトさんが黒幕というのはどうでしょう?」
「な、なるほど……? まぁ、的確ではあるか……確かに、ティアマトは後半で一気に来たもんなぁ……」
うんうん。と納得するオオガミ。マシュはそれを見つつ、
「先輩。話は変わるんですが……今日は、その……私も料理をしても良いでしょうか!」
「ん? 良いよ。というか、遠慮する必要はないと思うけどね?」
「あ、ありがとうございます……頑張りますね、先輩!」
「うんうん。なんでそんなに気合い入ってるのかは分からないけど、頑張れマシュ!」
そんなやり取りをしつつ、きれいな部屋を探す一行。
ただ、式のこの一言で我に帰る。
「お前達、平然と部屋を無断で借りて行くけど、その光熱費水道費ガス代諸々、誰が払うと思ってるんだ?」
「……えっと、請求書はカルデアに送っておいてください」
「……何も考えてなかったんだな……」
普通に呆れる式。オオガミも、普段カルデアで気にしないせいで、感覚がおかしくなっていた。
「そういえば、式さんがいるから大丈夫だと思うんですが、普通に考えれば、不法侵入みたいなものですよね……」
「そうだな。逮捕されても文句言えないと思うぜ? まぁ、そこら辺は気にするな。今は別に重要じゃない。ただ気になっただけだ」
「そ、そう? 良かったぁ……すっごい心臓に悪い……」
「安心しろって。一応、こっちの都合もあるからな。よろしく頼むぜマスター」
「う、うん……ちょっと自信無くなってきた」
思い返せば、普通に警察に厄介になってもおかしくないことを何度もしている事に気付くが、まぁ、それはそれ。今はまだ気にしなくてもいいのだろう。
「さて、この部屋は大丈夫そうだ。少し休憩していこうか」
「そうだね……あれ、そういえば、なんで部屋を変えながら移動してるんだっけ……?」
「アビーさんが、『高いところがいいわ!』と言ったのが原因だったかと」
「あぁ、なるほど……」
なら仕方ないか。と思いつつ、オオガミ達は部屋にお邪魔するのだった。
あれ……前に何処かで似たような事を書いた覚え……気のせいですよね、たぶん……そう何度も我に帰ってないはず……