「振るとチョコが出てくる魔法の剣……なのよね?」
「まぁ、見たことないけどね。女帝さんが部屋で作ってるっぽいし」
「まぁ、見れないですし、チェックのしようがないですね。諦めて最後の施設に行きません?」
「ちょっと見てみたいよなぁ~。チョコリッチが動いてるところ~」
「見に行ったら殺されますよ?」
アンリの発言に、マシュは何とも言い難い表情で止める。
ふと思い立った瞬間に動き始めるのがアンリなので、釘を刺しておかないと地面に倒れていたりする。
「別に、殺されねぇと思うけどな?」
「そう言ってアンリが何度地面に落ちていたのか、憶えてるの?」
「……ちょっと記憶にねぇな。要するに問題ねぇって事だ」
「こっちにまで被害が出たら困るからやめろって言ってるんですよアンリ君」
「ちぇ。ま、流石に死にたくないし、自重はするけどな」
「えぇ、そうしてください。意外と連帯責任なので」
「ま、まぁ、それは流石にスマン。次は気を付けるわ」
やめると言わない辺り、おそらくまだやるつもりはあるようだった。
「見れないなら面白くないわ。昨日の速い部屋よりもつまらないわね。行きましょマスター」
「次の所も見どころあるか分からないんだよねぇ……」
「まぁ、アレは何処を見ればいいのか。という感じですね。そもそもどういう原理でチョコを生成してるのかが分かりませんし。一応見に行ってみます?」
「えぇ、行ってみましょう!! 楽しみねマスター!」
「一体何が起こっているのか。結構気になってたりするけど、正直怖い」
不安そうなオオガミを引きつれて、アビゲイルは走り出すのだった。
* * *
チョコ英霊とチョコ英霊がチョコ聖杯を求めて戦うチョコ聖杯戦争。チョコの宝具から放たれるチョコのビーム。チョコのチョコによるチョコの為のチョコ聖杯戦争。チョコ英霊だが、願いはおそらく本物だろう。
「……見てて、なんか空しくなってきちゃったわ……」
「何というか、ひたすら繰り返される聖杯戦争なんて、地獄以外の何物でもないですよね……」
「この施設、即時解体した方が良いんじゃない……?」
「……一個だけ貰ってくるか」
さりげなく物騒な事を呟いた復讐者が一人。止められるのは目に見えているが。
「しかし……どうしてこれを思いつくのか……発想がどうかと思うよね」
「根本的に聖杯を生み出せるのがおかしいかと」
「不思議ね。そんなに増やせるものなのかしら、コレ」
「まぁ、量産は普通出来ないんだよね……何を考えたら作ろうと思えるのか。謎過ぎる……」
大体、作れるというのはいかがなモノか。
「それで? これで一通り回ったぞ?」
「ん。じゃあ、受付に戻ろうかしら。楽しかったわマスター! また後で会いましょうね!!」
「えっ、帰るの早くない? そんな急ぐ必要も無いと思ったんだけど?」
「早い方が良いもの。怒られるのはあまり慣れていないの。後で見に来てねマスター!!」
「あ、うん。後で行くよ!」
アビゲイルはそう言うと、走って行ってしまうのだった。
「ククッ。んじゃマスター。そろそろ周回の時間だぜ? 休憩はもう十分したろ?」
「うぐぐ……しゃあなし。マシュ。行ってくるね」
「はい。頑張ってくださいね、先輩」
そう言うと、オオガミとアンリは周回に向かうのだった。
チョコ聖杯戦争のくだりでチョコをゲシュタルト崩壊させたかった……