「ふあぁ……アビーは抱き心地が良い……」
「私、抱き枕なのかしら?」
オオガミの膝の上に乗るということで、ちゃんと服を着ているアビゲイルは、目をぱちくりとさせつつ呟く。
そんなアビゲイルの疑問に答えたのは捕まえているオオガミ。
「いやぁ……前はエウリュアレがいたんだけど、今はいないから……ある意味代用ということで」
「むぅ……代用なのは、何か面白くないわ。一番じゃないのね」
「ん~……まぁねぇ……譲れないところがあるからね。そこは仕方ない」
「そうなの……残念だわ……」
少し悲しそうなアビゲイル。
オオガミはなだめるように頭を撫でると、
「まぁ、今はアビーがいるから、アビーを抱き枕にするわけです。嫌なら振り払ってくださいな」
「ん……良いわ。私は、その人から一番を奪うもの。マスターの膝の上は私のものよ」
「うわぉ。謎の戦いが始まる予感」
ここにいないエウリュアレに宣戦布告するアビゲイル。
だが、そもそもエウリュアレを抱き枕にしてるのはオオガミの独断だったりするので、エウリュアレからすれば何の事だがさっぱりという感じだ。
「でもでも、今のうちに頑張れば、その人の場所が取れるかもしれないわ。マスターはそういう人よ」
「酷い偏見……メルトリリスの例はどうなるんですか……」
「そ、それはそれよ。きっとなんとかなるわ」
「うぅむ、アバウト。というか、エウリュアレに聞かせてみたいな、今のセリフ。何て反応返してくれるんだろう」
「もぅ。マスターはマナー違反よ。話してて思ったけど、女性と話すときは他の女性の話をするのはマナー違反よ! 分かってるの? マスター」
「うぅむ、突然。今までずっと言われなかったことを突然言われると困惑するよね。まぁ、反省はしてるんだけども」
ちょっとだけ申し訳なさそうにするオオガミ。
アビゲイルはそんなオオガミの雰囲気を感じ取って、怒っている顔を一転。楽しそうに笑う。
「ふふっ。マスターとのお話は楽しいわ。ところで、マシュさんとアンリは何処に行ったの?」
「アンリは呼び捨てなのね……二人はあれだよ。倉庫整理かな。正確には、勝手に持ち出してないかの確認。ちなみに、勝手にスキル上げしてたらこの前めっちゃ怒られた」
「まぁ。マスターはどうして勝手にしちゃうのかしら。ちゃんと言わなくちゃダメよ?」
「うぅ……アビーにまで言われるとは……まぁ、気を付けているけども、たまに忘れるんだよ……特にイベント中。マシュに見付からないように種火を持ってきてるんだけど、どうしてバレるんだろ?」
「黙って持ってくるからじゃないかしら? まぁ、次に気を付ければ良いわ。マスター」
アビゲイルに若干説教され、オオガミは疲れたような表情でアビゲイルにもたれ掛かるのだった。
最近眠いのか、こういう話を書きたくなる私です。検定が終わったからかしら……