「さぁて。残りは自画像とモナリザ。さっさと終わらせて手稿集めにいきたいね」
回るために軽い準備運動をするオオガミ。
それを見ていたアンリは、
「別にボックスはどうでも良いんじゃねぇの? 別に育てたいのもいないんだろ?」
「いや、スキル上げをしないとさ? QPもだけど、素材も手に入れられて一石二鳥。だから回さないと」
「あ~……素材はしゃあないよなぁ……つか、オレに割いたのも原因じゃね?」
「あれは必要経費。無駄遣いではないよ」
「必要経費って……オレが弱いのは分かってるだろ?」
アンリの言葉に、オオガミは首を振ると、
「それはそれ、これはこれだよ。使いたいから使う。それで無くなる素材は、そうなる運命だったということで。んで、それを集めるのもセット」
「め、めんどくせ~……回収までするとか、マメだねぇ……」
「使用と回収はセットだよ。当然じゃん?」
何を言っているのか。と言いたげなオオガミ。
アンリはその視線を受けて苦笑いになる。
「まぁ、マスターのやり方をとやかく言うつもりはないが、頑張れ~」
「うん。まぁ、アンリには付き合ってもらうけどね」
「ですよね~……まぁ、やるんだけどさ」
ため息を吐き、呆れたような表情をするアンリ。
オオガミは妙にやる気の満ちた笑みで返す。
「さて。そろそろ周回しますか」
「えぇ~? オレとしてはまだ休憩してたいんだけど」
「別に戦ってもないでしょうが。行くよアンリ」
「ぶーぶー。って、本気だあれ。止まる気しねぇな。しゃあない。ついていきますかね」
置いていかれそうになったアンリは、走ってオオガミを追う。
「ったく、冗談が通じないねぇマスターは」
「いや、冗談を分からないんじゃなくて、その話をしてる暇がないだけなんだけども」
「疲れてるのなら寝た方が良いぜ? だから周回止めて休憩だ休憩」
「どうしてそう、休もうとするのか……なんとなく、サボりに誘う悪友の印象」
「オレのイメージは悪友かぁ……いやまぁ、悪ってついてるだけマシと考えるべきか。んじゃ、その悪友として言ってみるか。サボろうぜ?」
「だから、それは問題なんだってば」
へらっと笑いながら言うアンリに、突っ込みをいれるオオガミ。
「全く。どうしてそう頑ななんだ? 別に急ぐ必要はないだろ?」
「それはそれ。っていうか、QPはスキル上げに消費したから取り戻さないとわりと不味い」
「あ~……そりゃ不味い。特にマシュにバレたときは不味い。急いで回収しにいこうかマスター」
「……? マシュと何かあったの?」
「いや、別に何でもないよ。とりあえず行こうぜー」
「う、うん……なんか納得いかないけども」
首をかしげるオオガミの前を歩いていくアンリ。
そのまま周回へと向かうのだった。
悪友スタイルのアンリ。わりとアンリが気に入ってる私……キャラ崩壊してる気がしなくもないですけど。