「……よし。もうダメだこれ」
「次回ですね。次はきっと出ますよ」
一切の反論の余地もないほどの爆死。
新たに人が来ることもなく、再び訪れたチャンスは消し飛んだわけだ。
「あ~……まぁ、その、なんだ……まだ契約してくれないみたいです」
「マスター、大丈夫よ。出てきてくれないのなら、無理矢理引きずり出せば良いわ」
「マスター、アンタ何かに取り憑かれてるんじゃねぇの?」
「センパイが取り憑かれてるとか、無いですって。だってほら、BBちゃんがいますし?」
「どういう自信なんですかそれは。というか、マスターにこれ以上ダメージを与えないでください。主にそこの真っ黒な三人!」
マシュに言われ、BB達は互いに顔を見合わせると、
「オレは真っ青だけど?」
「私は灰色よ?」
「BBちゃんは……あれ、意外と黒い……でも、イメージカラーは紫と言うことで!」
「イメージカラーじゃないですから!! 後、アンリさんは再臨して誤魔化さないでください!! アビーさんは……まぁ、灰色なんですけど。ただ、とりあえずマスターに変なこと囁かないでください!」
「へいへーい。どーせ中身も見た目も真っ黒ですよ~」
「変なことを言ったつもりはないのだけれど……?」
「ブーブー。だとしても、BBちゃんはそんな真っ黒じゃないですよ~だっ!」
マシュの剣幕に、黒に戻りながらやれやれとばかりに首を振るアンリと、何がおかしいのか分かっていないアビゲイル。そして、若干自分は腹黒いと認めているBB。
「マシュさん……たぶん、マスター移動させた方が早いんじゃないかと」
「リップさん……それもそうなんですけど、運びようが無いじゃないですか……むしろこの三人をどうにかした方が良い気がしてきました」
頭を抱えてどうしたものかと悩むマシュ。
リップも苦笑いでマシュを見るが、流石にあの三人に勝てる自信はないので黙っておく。
「あ~……うん。もうね、メルト来なかったし、プレゼントボックス内の種火を一新しよう。どうせ後一年くらいは来ないと思うし」
「一年では流石に来ないと思いますけど……そうですね。それが良いかと」
「でも、誰に渡すんですか?」
「ん~……まぁ、とりあえずアビーとアンリに渡してから考える感じで」
そう言って視線を向けるオオガミ。
その視線を受けた二人は、
「おっと。オレに貢ぐたぁ、資源が余ってるってことかい? 暇だねぇ」
「レベルアップが出来るのね? ふふふ……これでもっとマスターの役に立てるわ」
ある意味対照的な二人。言外に要らないというアンリと、嬉しそうなアビゲイル。
「まぁ、素材が余ってる訳じゃないし、歯車を持っていったのは恨むけど、アンリは育てるよ」
「うへぇ……恨まれるのに育てられるとか、新手のイジメ?」
「諦めなさいなアンリさん。きっとレベルが上がったら良いことがあるわ」
「オレが言えたことじゃないんだろうけど、アンタ、性格ブレブレじゃね?」
「それは言っちゃダメよ。でないと……ふふふ?」
「ほらすぐそういう脅しする~。まぁ、死にたくないから言わないんだけども」
アンリはそう言うと、アビゲイルから距離を取る。
不穏な笑みを浮かべるアビゲイルに、アンリは目を逸らすのだった。
「よ~し。とりあえず、周回しようか」
「お~。荷物持ち、頑張るぜ~」
「任せてねマスター。今回も頑張るわ」
「BBちゃんにお任せを! サクッとやっちゃいますよ~!」
「私も頑張りますね。マシュさんはアンリさんと一緒に待っていてくださいね」
「アンリさんと……はい。今度はちゃんと気を付けて待ってます」
皆はそう言うと、オオガミについていくのだった。
まぁ、根本的に石が少なかったですし、仕方ないかなぁとは思ってたんですけど。ただ、合計で既にかなりの回数回しているような……
そろそろメルトショックから立ち直れなさそう……何時になったら来てくれるんですかメルト様……