「いつの間にか強くなっておるんじゃけど…」
「気付いたらレベル79よ……あと一つ上がれば、たぶんまた聖杯で上限が上がるわね…」
「そうはっきり言えるのはお主だけじゃろ」
「なぜ余ではなくそなたなのだ…うぅ…」
「知らないわよ。その文句はオオガミに言って」
「うむ。ちょっと抗議してくる」
ネロはそう言って、休憩室から出て行く。
残されたノッブとエウリュアレは、煎餅を食べながら見送る。
「さらっと儂から煎餅を奪うな。女神」
「何よ。一枚くらい良いじゃない。第六天魔王」
「む。珍しく攻撃的じゃな。何かいいことでもあったのか?」
「別に、何もないわ。ただ、今の私は機嫌がいいの。こんな日があってもいいでしょ?」
「ま、それについては儂は何も言わんよ。それより、あのアンデルセンとか言う作家……いつの間にかかなり強くなっとらんか?」
「既に貴女の姪を越えてるわね。恐ろしいくらいの成長速度よ?」
「なんで突然育て始めたのかのぅ…」
「さぁ? ただ、戦闘には一切参加してないから、イベントの為じゃない?」
「マスターがそんなことをするとは思わんのじゃが……まぁ、何か考えがあるんだろう。そっとしておくかの」
ノッブは緑茶を飲み、一息つく。すると、エウリュアレが、
「そういえば、最後の最後に貴女の姪が種火周回に参加したわよ」
「ほぅ?」
「ちゃんと頑張っていたわ。あそこまで戦えるとは思ってなかったから、正直驚いたわよ」
「そうか……まぁ、当然じゃな! 儂の姪じゃし!!」
「えぇ、本当、貴女の姪は凄かったわ。まぁ、これから大変かもしれないと思うけど、頑張ってもらいましょう」
「……あぁ、そういえばバーサーカーじゃった……種火周回で活躍って事は、そういう事か…」
「フフッ。彼女も、サーヴァントの闇に一歩踏み出したという事よ」
「三食おやつ休憩付きの仕事場じゃが、イベント時はほとんど別物じゃからの……種火周回はイベント以外では無いじゃろうから、とりあえず明日で最後か」
「そうね。一応は終わるんじゃないかしら。イベント後が問題かもしれないけど」
これからの事を考えつつ、ため息を吐く二人。
そこで、ノッブは何かに気付く。
「そういえば、何時の間にか煎餅が全部消え取るんじゃが」
「あら、本当ね。誰が食べたのかしら」
「……そういう分かり切ったことを言うのはどうかと思うんじゃが」
「……それもそうね。食べたのは貴女でしょう?」
「お主じゃろうが。女神だとか言われていようが、儂は全く気にせんからな。全力で対立するぞ」
「へぇ? 私と戦おうっていうの? 全体宝具で強力攻撃のあなたが、単体宝具で超強力攻撃の私に? いいわよ。その勝負、受けましょう」
「筋力E、耐久Eのお主に負けるわけないじゃろ。あまり調子に乗るなよ駄女神。儂の火縄銃が火を噴くぞ」
「やれるものならやって見なさい。その前に心臓射ち抜いてあげるわ」
二人はそう言うと席を立ち、ある意味仲良くトレーニングルームへと向かうために休憩室を出て行くのだった。
また食べ物で争ってる…
エウリュアレはもう完全にお菓子を求める系サーヴァントですね。これはいつかエウリュアレがお菓子を求めるだけの話を書かねば…(使命感