「まぁ、ね? やった。やったんですよ、必死に。でもさ、無理じゃないですか。どう見ても詰んでるじゃないですか。だったらもう、諦めて次回を待つのが賢い方法ですよ」
「まぁ、そうですね。先輩はそろそろ諦めた方がいいかと。ちゃんと寝てください」
「マスター……顔色悪いわよ?」
何があったかなど、聞くまでもない。
死んだ魚のような目で明後日の方向を見ているオオガミを見れば一目瞭然。昨日と同じというわけだ。
「最初から、こうなるような気はしていたんだよ。うん」
「あの、先輩。割りと真面目に休んでください。なんというか、セイレムを思い出しそうなくらい最悪な顔色です……!!」
「流石にそこまで酷くはないと思うんだけどなぁ……」
「本当に酷い顔よ? お医者様に見てもらった方が良いんじゃないかしら……」
「しばらくすれば治ると思うんだけどね? 具体的には一週間くらい」
「だいぶありますけど……いえ、それくらいならなんとか。ちゃんと治してくださいね?」
「無理はダメよ。あ! 私も一緒に寝てあげましょうか?」
「いやいやいや。流石にそれはアウトかな。見た目的に」
オオガミの言葉に、首をかしげるアビゲイル。
見た目的に。という言葉でふと思い出したのだが、清姫も冷静に考えるとかなり不味いということに気付いた。字面にするだけでもかなり酷い。
まぁ、そもそも彼女の行動は、年齢を考えずともかなりのものなのだが。
オオガミは、そんな思考を振り払うと、アビゲイルの頭を撫でつつ、
「種火は余ってるから、そのうち一気にレベル上げるね。流石に600個越えてるんだし、大丈夫だと思うから」
「本当? 皆と並んで戦えるようになるのが楽しみだわ! じゃあ、そのためにも早く元気になってね。マスター!」
「任せといて。回復力なら自信あるから」
「そうですよね。毎度なんだかんだ言って、すぐに起き上がってきますし。今回も早めに回復してくださいね」
マシュはそう言うと、アビゲイル連れていく。
元気に手を振るアビゲイルに手を振り返し、見えなくなった頃。
「新シンさん。いる?」
「あいよー。呼ばれて飛び出てってね。何か用かい? マスター」
「うむ。個人的にかなり重要な用事だよ」
突如出現するは新シンさんこと、新宿のアサシン。オオガミ的には、書けるけど読めない名前第一位だ。
よって、人の名前を覚えるのが苦手で、且つ漢字で読めないので愛称と称して新シンさん呼んでいる。
「さて、新シンさん。変装。お得意ですよね?」
「そりゃまぁ、当然。得意分野だけども、誰かに化けて欲しいということ?」
「まぁ、そういう感じ。お願いできる?」
「もっちろん。じゃあ、要望をどうぞ」
「じゃあ――――」
その言葉を皮切りに、新シンさん大変装大会が始まるのだった。
新シンさんが来たらやろうと思っていたこと。
ついでにナーサリーも入れて、同じサーヴァントが三人! って言うのもしてみたかったり。