「はっははは……いやぁ……うん。根気が足りないのか、運がないのか、まさかこれだけ出ないとは思わないよねぇ……」
「ますたぁ……私、疲れちゃったわ……」
「見てましたけど、かなり食べてましたよね……10個くらい食べても一個も出ないとは思いませんでした……」
帰還し、ぐったりと倒れたオオガミとアビゲイル。
マシュも、予想外の事態に同情する。
「うぅむ……これはあれか。やっぱり修練場を待つしかないというわけか」
「一日は無理になってしまったわ……うぅ……」
「アビーの気にすることじゃないよ。まぁ、次の槍修練場の時に絶対終わらせるけどね」
「そうですね。アビゲイルさんのせいではなく、先輩のせいですし。砂集めをサボったツケが回ってきたのかと」
「ツケが回ってくるの、早すぎじゃないですかね」
苦笑いで言うオオガミに、微笑んで返すマシュ。
すると、アビゲイルは起き上がってスカートの汚れを払うと、スタスタと何かを探しに行った。
マシュとオオガミはそれを見送り、首をかしげる。
「アビゲイルさん、何を探しに行ったんでしょうか……」
「さぁ……? まぁ、俺もお腹空いたし、何か食べようか」
「良いですけど……誰が料理をするんですか?」
「ふっふっふ……それは俺がやるとしよう。エミヤ師匠直伝の料理スキル、今ここで使うときだよっ!」
ドヤ顔で言うオオガミ。マシュは驚きで目を丸くする。
「せ、先輩? 無理しなくても良いんですよ?」
「無理じゃないやい! というか、そんなに料理するのが想定外なんですか!」
「だ、だって、先輩ですよ……? 私、そこまで出来るとは思ってなかったんですけど……」
「失礼な!! というか、結構やってたと思うんだけどね!? エウリュアレにパフェ作ったりとか!」
「あれはその、先輩の場合はただ乗っけてただけのような?」
「日に日に上達していってたのに!! 酷いっ!」
今までのは料理判定では無いようだった。
なので、今回はその評価を覆すため、料理に挑戦するわけだ。
「じゃあ改めて、エミヤ師匠と頼光さんに教わった料理を見せてあげるよ!!」
「師匠増えてますね、先輩。他にもいたりしません……?」
「えっ……まぁ、後はパライソさんとか、ノッブとかBBとかいるけど……」
「待ってください後半二人が不安要素なんですけど!!」
明らかにゲテモノ専門のような二人。
だが、オオガミは平然と、
「大丈夫。5回に1回くらいでゲテモノに変わるだけだから」
「十分凶器です。なので、ゲテモノになったら直ちに棄てるか、信長さんとBBさんに食べさせましょう」
「最近、後輩の性格が凶暴になってる件について」
ついにノッブとBBにまで矛先は向き始めた怒り。
まぁ、毒を盛られる可能性を作ったので、自業自得ではあるのだが。
その後、しばらくオオガミは料理に挑戦し続けるのだった。
あははははは。私、諦めました。10個くらい食べて一個も出ないとか、やってられないので。
諦めて修練場待っていた方が明らかにメルトを早く育てられそう……スキル一個犠牲になりますが。