「とりあえず、冷静になりました」
「突然どうしたの? マスター」
「今度はどんなとんでもない事を考えたんですか」
突然冷静になった宣言をするオオガミに、一体どうしたのかを問うアビゲイルと、今度はどんな悲劇を思い付いたかを聞くマシュ。
もういい加減マシュのオオガミに対する信頼は分かりきっているので、あえて突っ込まない。
「今回は至極全うなことです。うん。QP以前の問題だよ」
「それはどういうものかしら?」
「……あぁ、なるほど。それで珍しく青い顔をしているんですね」
マシュは気付いた。いつも資源を見ている彼女だから気付けたと言っても良いだろう。
つまりは、
「うん。槍の秘石が足りない」
「どうして確認しなかったんですか」
「槍の修練場は終わっちゃったわ。どうやって集めるの?」
「そりゃ、フリークエストを回るしかないかと」
獲得率が根本的に低いのにもかかわらず、更に獲得率の引くいフリークエストを周回するという、どう考えてもバカな行為だ。
この前のボックスガチャで必要量手に入れられなかったことが一番の問題だろう。
「場所は何処なんですか?」
「アガルタ。割と真面目に難易度高いですわ」
「あ~……そうですよね……最近のに近ければ近いほど、フリークエストの難易度、高いですし」
「私はお手伝い出来ないのかしら?」
「アビーはまだ無理かなぁ……というか、単体宝具だから無理かなぁ……」
「そう……全体じゃないのが悔やまれるわ」
全体宝具云々以前に、レベルが足りてない上に最後が異様に体力があるので、あまり関係なかったりする。
「うん。要するに、地獄の周回が始まるわけですよマシュ先生」
「これは先輩がすっかり忘れてたのが問題ではないかと。槍の秘石はもっと早く気付ければ用意できたと思うのですが」
「分かるけども! そうはっきりと言わなくても良くないですかねマシュ先生!!」
「マシュさん、ハッキリ言うわよね。応援してるわ、マスター」
「うん、まぁ、悪いのはこっちだからいいんだけども。というか、これはたぶん誰かに捧げたんだったかと。自業自得かな……」
一応自分のやったことを鑑みて、後悔も反省もしているものの、とりあえず採集しに行かなければならないという現実を前に渋るオオガミ。
「ほら、早く行きますよ。先輩」
「私も行くわ。面白そうだもの」
「うああ……また金リンゴセルフ食べ放題の時がやってきた~……!!」
クリスマスの時に食べた量を超える量が補充されたので、ある程度は融通が利く。が、それはそれ。エンドレス周回は精神的にダメージを与えるのだ。
当然、自業自得なので情けをかける余地はないのだった。
いやぁ……想定外ですよね。はい。具体的には14個ほど足りません。
アガルタ回るぞぅ!!(バリバリ