「さて問題です。ここに聖杯があるわけですが、この行き場のない聖杯を使いたい場合、どうすれば良いでしょう」
「危険物という自覚を持ってほしいんですけど!! というか、どこから持ってきたんですかそれ!! 厳重に保管していたと思うのですが!!」
マシュが割と真面目にオオガミから聖杯を奪おうと手を伸ばすが、自然と避けて行くオオガミ。
普段からサーヴァントから強襲されていただけあって、回避スキルが異様に高いオオガミに、だんだんと攻撃を入れたくなってくるマシュ。
はたしてどうやって攻撃を入れるか考えるマシュ。とりあえず顔の近くまで肘が近づいたので、顔面に叩き付ける事にした。
「ごぼぅあ!!」
「あっ! すいませ……やっぱ謝りません!」
「酷いッ!」
聖杯を奪われ、肘鉄を顔面に入れられたオオガミはうずくまり、ピクピクと痙攣する。
マシュは聖杯を奪ったものの、聖杯をどうやって戻してくるかを考える。当然、査問官達に見つかったら没収されることは確定しているので、隠し通しながら、更に保管室まで見付からないように行かなければいけないわけだ。
「ふふふ……マシュ。お困りのようだね……」
「先輩……!! 死んだはずでは……!?」
「うん。致命傷だけども死んではないよ。後、自然と亡き者にしようとして来るのはノッブ達で間に合ってるから。マシュまでそっち側に行かれると収集がつかなくなる……」
「別に亡き者にしようとしてませんよ。というか、先輩はどうあがいても死にそうにないような気がするんですけど……」
「おっと。不死属性をつけるんですか後輩ちゃん。それつけられると殺される感半端ないんで止めてくださいません? 具体的にはノッブとかに」
「どうして先輩はいつも信長さんに命を狙われてるんですか……」
「さぁ……? まぁ、実験台には良く使われてたけども」
「もしかして、改造とかされてますか……? 後、ふと思ったんですけど、リップさんの被虐体質の影響を受けてませんか? 具体的にはうつってません?」
「改造はされてないし、被虐体質がうつっても無い……はずだよ。うん。というか、スキルってうつるものなの……?」
「うつらないと思うんですけどね……でも、先輩は一応特殊な事例ではありますし……」
「えぇ~……というか、被虐体質を手に入れてもなぁ……あんまり嬉しくないというか、なんというか……」
かなり微妙な気分になるオオガミ。
被虐体質を手に入れてどうすれば良いのかと悩むが、別にいつもと変わらないという事に気付いた。
マシュはその気持ちの変化に何となく気付き、『この先輩、そろそろ末期かもしれない』と思うのだった。
なお、オオガミが殴って治らないのは、過去に実践済みの模様。
実際、この聖杯の扱いってどうなってるんでしょうね。まぁ、残ってる人と一戸もない人で別れてるとは思うんですけど……