「宝物庫を荒らして、今のうちにメルト用のQPを溜めるという事だよ!!」
「ドヤ顔で宣言することじゃないと思うんですけど」
誰でも見れば分かるほどのドヤ顔でそんな宣言をするオオガミに、珍しく突っ込むリップ。
「むぅ。リップが珍しく辛辣なんだけど……どういうことなの……」
「だって、メルトが来たら、私の出番が減っちゃうじゃないですか」
「いや、それは無いけど……だって、リップは全体攻撃回復盾だから、メルトの単体単独確殺連撃とは別じゃん?」
「それ、褒めてるんですか?」
「当然。結局集団戦の時はリップに頼ることになるだろうし。周回の時はリップだし」
「なんか、誤魔化されてる気がするんですけど……」
「誤魔化してないし……事実だし……」
疑われているオオガミ。日頃の行いか、今日のリップの気分の問題なのか。
「そもそも、なんでリップは不機嫌なのさ」
「最近周回ばっかりしてるじゃないですか。私にも休みを下さいっ!」
「流石にそれは考えてなかった……確かに最近周回は多いけども……ただ、それを一番言いたいのはアーラシュ先輩なのでは……」
「……それはマスターが悪いと思うんですけど……」
必要な犠牲なのだ。なんて割り切っても、いつも療養中なアーラシュに頭が上がらないオオガミ。リップも、いつも目の前で爆散していくアーラシュを見て、いつも爆散するアーラシュに目とするのだった。
ちなみに、同じくいつも見ている茶々は、『たまによくあるよね!!』と言って、特に気にしては無さそうだった。
「あの、本当にメルトの為だけなんですか? 私に返ってきたりしません……?」
「場合によってはするけど……嫌なの?」
「いえ、そう言うわけでは。むしろ返ってきてほしいんですけど。スキルレベル上げてもっと活躍したいです」
「ふむふむ……じゃあ、頑張らなきゃだね」
うんうん。とうなずくオオガミ。そんなオオガミに、リップは満足そうだった。
しかし、そこにやってくる影が一つ。
「まままままま、マスター!!! ピックアップがまた荒れるんじゃけどぉ!!」
「突然現れた上にそんな焦ってどうしたんですか? ノッブさん」
「ノッブが慌てるとかっていうか待って待って何その形相まさか何か企んでる?」
「うむ!! 石浪費阻止期間じゃ。石を消費させんように儂は今から石を奪ってくる」
「えっ、どういうことなの……何がピックアップされるっていうの……」
「聞いたらマスターは絶対引きたいっていうからな。言わんぞ?」
「またまたぁ……で? 本当に誰がピックアップされるの?」
「エレシュキガルじゃ」
その言葉を聞いた瞬間、オオガミは即決した。
「すまんメルト。君の為の備蓄は、今この時を持って消滅したよ」
「マスター!?」
「ほらぁ!! 絶対こうなるって思ったんじゃよぉ!!!」
突っ走ろうとするオオガミを、ノッブは必死で止めるのだった。
アーラシュさんには本当に頭が下がります……いつもありがとう……この作品には名前以外ほとんど出てこないけど……
そして、エレシュキガルピックアップ!! こりゃ溶かさざるを得ない!! すまんメルト!! 備蓄は今この時を持って、吹き飛ばすと決めた!! 余ることを祈るよ!!!